伝説の音を作った張本人? “Bob Bradshaw”と”Dave Friedman”
~その1、スイッチングシステムの親を辿る~
こんにちは、スタッフ高橋です!
さて皆様のペダルボードにはスイッチャー、組み込まれていますか?
今やかなりコンパクトになり、踏んだ際のタイムラグもなくなったことで
プロのみならず一般ユーザーにもかなりの市民権を得ております。
近年はstrymonやeventideをはじめ多くのデジタルエフェクターに
MidiのIn / Outついてますし同期している方も多いですよね。
え?
HelixやKemperなどデジタルでまとまってるからスイッチャーはない?
プリセット切り替えはMidiコントローラですよね。
と言うことはコンパクトエフェクターを直列で使っている方以外、この方のお世話になっています。
Bob Bradshaw様です。
冷蔵庫ラック時代、そう8~90年代のギター雑誌のインタビューを読んだことのある方は
見たことのある名前ではないですか?
Custom Audio Electronics = CAEの創始者であり
Midi制御のできるスイッチングシステムを一般化させたのはこのBradshaw氏です。
今回は彼を中心に現代まで続くスイッチングシステムの歴史を振り返っていこうと思います。
まずBradshaw氏はフロリダ生まれ、70年代半ばに電気知識を学ぶためアトランタに引っ越します。
78年には軍事関係の機器テストの仕事をしていましたが、79年には楽器修理の職につきます。
アンプ類をはじめとした機材リペアがメインでしたが、ペダルボード製作の依頼もあったようです。
しかしながら他のスタッフが製作したボードを見たBradshawはその出来の悪さに
あまり納得がいっていなかったようで、新たなボードのアイデアを練るようになりました。
ちなみに80年当時、プロユースのボードを組んでいたのはPaul Riveraぐらいです。
Rivera氏は81~84年Fenderに在籍していますが、キャリア初期のSteve Lukather氏の
アンプやエフェクターに手を入れていたのはこの方です。
TOTOのライブでセットされたDeluxe Riverbをモデファイしていたのはとても有名ですね、
ちなみにステージセットですがデラリバが歪み用でMarashallがクリーン用です。
しかしLukather氏もLandau氏と共にCAEのカタログに登場することとなり、その後はCAE党ですね。
さてBradshaw氏に話を戻しますとペダルボードをより良くする方法として一つの結論に至ります。
“プレイヤーの足元にはコントローラーしか置かない、エフェクターはステージの裏にまとめてしまえ”
今現在のアリーナツアーシステムと全く同じ構造ですが、
これをMidiも登場していない時代に思いついておられます。
そしてすぐさまプロトタイプを製作、知人のミュージシャンに使用してもらいフィードバックを
得た後にある大物ミュージシャンのシステムを組むこととなります。
Buzz Feitenです。
古くはPaul Butterfield Bandに参加しWoodstockにも出ておりますが、
この頃はアレサ・フランクリンやリッキー・リー・ジョーンズのサポートをしていました。
1981年の出来事ですが、現在とほとんど変わらないシステムをMidiなしに組み上げています。
CAEのホームページから当時のシステムが見られますので、
気になった方は是非ご覧になってみてください。
翌82年にはBuzz Feiten氏のツアーにてMichael Landau氏と出会います。
そして83年にジョニ・ミッチェルのツアーを回る際のシステム構築と、
テックをを任されることとなりました。
ライブが終わるたびに機材をホテルに持ち帰り、メンテとアップデートを行う日々でした。
期を同じくしてYamaha、Roland、Sequential Circuitをはじめとした6社共同規格として
開発された”MIDI 1.0”が登場します。
当然すぐにMidiを取り入れたスイッチングシステムを製作、
この時点で現在と全くといっていいほどのシステムが完成したのです。
CC/PCによるプリセットの切り替えだけでなく、各エフェクター個別でのOn/Offも可能で、
同時にラックエフェクターなんかでは非常に重要なバンク切り替えも同時にできます。
CAEで言うとRSシリーズ、他にもFree The Tone(FTT)やCustom Audio Japan(CAJ)の現行品スイッチャーなどと
同じ機能を持っていることがわかります。
言い換えれば同じ機能をかなりサイズダウンできているのがFTTやCAJということです、
Rolandやeventideもですが当時のラックサイズからかなりコンパクトになりました。
さてこの先進的なシステムは当時のミュージシャン達の中で大流行、
前述のSteve Lukather氏やDann Huffなど当時のL.A.界隈で大流行となりました。
さらにステージ上でのモニタリングやサウンドの広がりを求め、
“Wet / Dry / Wetシステム”なんかもBradshawが関わり開発されます。
ちなみに“Wet / Dry / Wetシステム”はキャビネットを3台使用して、
真ん中からはエフェクトのかからない音、
左右キャビからステレオエフェクトを出力するというものです。
Van Halenをはじめ当時多くのプレイヤーがこのシステムを採用するようになりましたが、
単純にアンプを3台使えばいい訳ではなく”Preampは1台”、”場合によってはキャビシミュがいる”
など当時やろうとするとかなり複雑だったため彼の手が必要だったのです。
当然のことながら、全米からかなりのオファーを受けることとなり多忙を極めたBradshaw氏。
そんな中L.A.老舗の機材レンタル屋さん”Andy Brauer Studio Rentals”から
新たなシステム屋さん、そしてアンプビルダーが誕生します。
その名は”David Friedman”。
彼はVan HalenやJohn Shanksをはじめ、かなりの数システム製作を手掛け、
おなじみ”Friedman”を立ち上げアンプビルダーとしても成功することとなります。
というわけで次回はそんなDave Friedman氏についてです。
続編、乞うご期待!
では!