[ニコニコ雑記] 70周年記念 ブロードキャスター入荷

こんにちは、店長の野呂です。

多数のフェンダーカスタムショップ製品の取り扱いをしている当店ですが、今回は一風変わったアニバーサリーモデルを入荷いたしましたので紹介させていただきます。

こちら!
Fender Custom Shop 2020 Limited Edition 70th Anniversary Broadcaster NOS (Nocaster Blonde) です!

一目よく見かけるようなブラックガードのテレキャスターですが、こだわりの詰まったスペックとなっていますので順に見て参りましょう。

まずはヘッドストック。
モデル名の”Broadcaster”が確認できます。
ギター好きの人々にはよく知られた話ではございますが、元々1950年にフェンダー社から初の量産型ソリッドボディエレクトリックギター”Broadcaster”として発売されたたものの、商標”BroadKaster”をGretsch社がすでに所有していたということで、”Broadcaster”という商品名が使用できなくなったため、ヘッド/ハードケース/保証書から商品名を取り除いて(通称ノーキャスターとして)販売することになった経緯があります。

今では当たり前ですが、ボディとネックをネジで留める”ボルトオン”構造、指板とネックが一体となっているメイプル1ピースネック、片側1列にペグが並んだ角度の付いていないヘッドストック、空洞のない一枚板のボディなど、当時としては非常に型破りで革新的なデザインが満載でした。

ボディ材はアッシュ、当時の使用にならってあえてオフセンターの2ピース仕様となっています。
ストラップピンのある真ん中ではなく、少し6弦側にズレたところに継ぎ目があります。

塗装は最終のバフがけ無しで仕上げたラッカーフィニッシュ”Flash Coat Lacquer”となっており、木目の凹凸が感じられるほどの極めて薄い塗膜となっています。
蛍光灯の明かりが映り込んでいるところから質感が伝わるとよいのですが、写真では分かりにくいかもしれませんね。

指板は7.25”- 9.5”R のコンパウンドラディアスが採用されており、これは扇形で張られている弦がローポジションからハイポジションまで均一な弦高のバランスを保つのに有利な構造となっています。
ローポジションでは指板面に丸みがあるため握り込んで引くようなローコードのストロークに適したシェイプで、ハイポジションではフェンダーでありがちなチョーキングでの音切れが起こりにくい仕様で、個人的にはフェンダーで最も好みの指板Rです。

フレットは、従来のヴィンテージタイプと比較して若干の幅と高さがあるミディアムヴィンテージタイプが使用されています。
(カスタムショップで近年よく使用されているナロートールほどは高さがないものとなります。)

現代で求められるような演奏性にも配慮した妥協のないスペックと言って良いでしょう。

ピックアップには”BP”とサインの入ったCustom Shop Hand-Wound ’50-’51 Blackguardが搭載されています。

コントロールは’51 Modded Nocaster Wiringという、おそらくは多くの方にとって親しみのない配線が採用されています。
PUポジションごとの効果が以下の通りです。

Position 1:リアピックアップ w/Blender
Position 2:フロント w/No Tone
Position 3:フロント w/Preset Tone

基本的には52年頃まで採用されていたコントロールが踏襲されています。
トーンノブはなく、変わりにPosition 1でのみ作用するブレンダーノブが搭載されています。
このブレンダーノブにより、Position 1でリアのみのサウンドとフロント+リアのMIXサウンドが使用可能です。

プリセットトーン用のコンデンサ。0.001μFと極めて控えめな数値のものが搭載されています。

’51 Modded Nocaster Wiringの“Modded”はどの部分なのかというと、Position 3でのこもり具合が大きく変化しています。
従来のヴィンテージ配線では極端にトーン(高域)を抑えたようなモコモコしたサウンドが特徴でしたが、本器では僅かなこもり具合の絶妙な効き目となっています。
個人的にはこのサウンドが非常に実用的でよく考えられていると感じていて、クリーンでもドライブサウンドでも”甘さ”、”暖かさ”、”太さ”を加えたい時にPosition 2からPosition 3に変えるだけで適度な効果が得られ、それでいて引っ込みすぎたりモコモコしすぎたりしない巧みな扱いやすいサウンドチューニングとなっています。

テレキャスターのコントロールにおける新しい選択肢として大変おすすめなのですが、従来のリア・MIX・フロントの3ポジションでマスターVol & Tone(カレント配線)の方が好ましい方のために、既にそのようにワイヤリングされているコントロール・プレートも純正で付属いたします。
(1枚目の写真でケースや認定書と一緒に写っているのが確認いただけます。)

更におまけとして当時の雑誌広告のレプリカも付属いたしますので、見てみると面白いですよ!

今回はこの辺で。

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