燦然と輝く愛しき名脇役たちについて ~前編~
こんにちは。スタッフの鹿毛です。
今回はFenderの歴史に(個人的に)燦然と輝く愛しき名脇役、オフセットモデルたちについて取り上げていきたいと思います。
と言っても既に(準?)主役級のギターとなったJazzmasterやJaguar、Mustangばかりが取り上げられていては主に僕の心が収まりません。
それに近年では、プリセットコントロールやスライドスイッチが取り除かれ、モダンなハイゲインピックアップが搭載されたモデルも登場しています。さらにはラディアスを平らにしてジャンボフレットやステンレスフレットを打ったり、シンクロトレモロや6連のストラトスタイルのハードテイルブリッジやTune-O-Maticブリッジが搭載され、演奏性の向上が図られたモデルもFenderだけでなく多くのメーカーにより製作されています。
楽器のダメな部分が愛おしく思える僕にとっては、それらモダンなものがトラディショナルスタイルのものより散見されることを個人的に非常に悲しんでいます…。いずれも問題点が改善され、よく考えられて開発されたとても良い楽器である事は重々承知の上なのですが…。
という事で、ここからは超個人的な僕にとっての主役たちのお話をしていきたいと思います。
Fender 1972 Musicmaster (White)
まずは72年製の”Musicmaster”です。
1956年にDuo Sonicと共に発表されたFender初のショートスケールのギターで、ピックアップはフロントに1基のみ。トレモロユニットはなく表通しハードテイルスタイルのブリッジが搭載されています。これらの仕様は1982年の販売終了まで変更される事はありませんでしたが、その当時の謂わゆる「兄弟機」たちとそれぞれボディなどを共有する事によって、幾つかの仕様が生まれています。
Musicmasterというモデルそのものは先述の通り1956年に発表されていたものの、1964年にムスタングが発表されボディを共有するまではオフセットボディではありませんでした。よって今回取り上げるには初期のものではなくこちらの中期のものがマッチしているのです。
個人的には、70年代後期に販売されていた”Bronco”とボディやピックガードを共有していた”Musicmaster II”の方が好みです。余計に野暮ったく、イナたくなった外観が個人的に愛おしくて仕方がないです。
Fender 1969 Bronco (Red)
次はMusicmasterの項でも名前の出た69年製の”Bronco”です。
1967年に同じ名前を冠した”Bronco Amp”とのパッケージ販売で登場したショートスケールのスチューデントモデルで、ピックアップはリアに1基のみ。Broncoモデルにのみ搭載している(最も不人気な)”Fender Steel Vibrato”ユニットが特徴的です。
ボディとネックにはムスタングのものが使用されているため、このモデルは登場時からオフセットボディになります。
こちらも個人的には70年代後期のブラックやオリンピック・ホワイトのモデルが好みです。
Fender Mexico 2017 Player Duo Sonic (Seafoam Green)
余談にはなりますが現在当店に在庫中のFender Mexico製Player Duo Sonicはオフセットボディになっています。
Duo Sonic(オフセットのものになるのでこの場合は”Duo Sonic II”やFender Mexicoの90年代リイシューモデルなど)も取り上げたかったのですが、”Musicmaster”と”Bronco”でたくさんお話してしまったので、今回はこの辺りにします。
次回では80年代に入り、Squier Vistaシリーズの登場による愛すべき”大迷走”などを取り上げられたらな、と考えています。
それでは。
Fender 1969 Bronco (Red)