Eric Clapton シグネイチャーモデル 5 ~完成からその後~
第4回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/eric-clapton-4/
シグネチャーモデルが完成した後、クラプトンとカスタムショップのさらに密接した関係が続きます。
本人が使用するためのもの、リミテッドエディション、チャリティーオークションのための特別な1本、プロトタイプなど、クラプトンモデルに関わる様々なギターが次々に制作されました。
アッシュボディ、ゴールドハードウェア、キルトメイプルトップ、フレイムメイプルトップ、アバロンインレイ、マッチングヘッド、パーロイドガードなど、ありとあらゆる可能性がカスタムショップで試されたそうです。
プロダクションモデルとカスタムショップ(特にマスタービルト)の大きな違いは、その時々のアーティストの趣味嗜好によりスペックが変化するということでした。
マスタービルトモデルはその時にクラプトンが使用しているものに最も忠実で、チームビルトは少し前に使っていたスペック、プロダクションは初期に準ずるといった感じだったようです。
そしてこれはTBXの搭載などアッセンブリーはもちろんのこと、ネックシェイプにまで反映されているそうです。
正規ディーラーなどは、上記に挙げたような”現在クラプトンが使用している仕様”にモディファイされたリミテッドランなどを求めたことも多々あったようですが、クラプトンの承認をその都度リアルタイムで受けるということは難しいとして断っていたこともあったそうです。
が、もちろん例外もいくつかあったようで、例として1990年代にギターテックのリー・ディクソンの承認のもとに、モディファイされた特別仕様が山野楽器に向けて製作されたということもあったそうです。
余談ですが、1991年にはオプションとしてローズウッド指板仕様のものも94本製作されたそうです。(そのオプションはすぐに無くなったそう)
当時のクラプトン本人のためのギター製作を様子をJ.W.Blackはこのように語っています。
“クラプトンのためにカタログに載っていないありとあらゆるギターを製作した。
彼がハードテイルが欲しいと言えば作り、ガット弦のChet Atkinsが気に入らないと言えば、エレガットギターを作った。(そのハードテールとガットギターは、お気に召さなかったようで、返却されたそう)
メタル(金属製)ボディのブラッキーが欲しいと言うので、製作。(これも気に入らず返却)
新しく買った車のカラーが好きだから、この色でストラトを作ってくれと言われて、製作。(色が違うと言われ再製作)
こんな感じでいつも忙しかった”
めちゃめちゃ返却されていますね。。。
ジョン・ページ、マイケル・スティーブンス、JWブラック、ラリー・ブルックス、マーク・ケンドリックとたくさんのビルダーがクラプトンのために製作をしましたが、もっとも多くのギターを作り、関係性が長かったのはトッド・クラウズだったようです。
“同様のスペックを持ったギターでも、ビルダーごとに確かに違いを感じられた”
ギターテックのリー・ディクソンは言っていたようです。
長い年月をかけて、アーティストモデルの筆頭としてフェンダーの威信をかけて製作されたエリック・クラプトンモデル。
シグネチャーモデルとして不動の人気を築き、現在でも生産が続けられているフェンダーを支え続けている人気モデルとなっています。
~終わり~