Tom Anderson ~カスタムギターのパイオニア~ その2

前回のその1はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/tom-anderson-1/

シェクターを退社して、独立することに決めたトム・アンダーソン。

Anderson Guitarworksと名付けた工房は、まず自身の自宅のガレージから始まります。(アメリカのルシアーはこのパターンが非常に多いですね。)

当初のプランでは、”ボディ”、”ネック”、”ピックアップ”のみの製造して、最終的な組み上げをするギターメイカーになることは想定していなかったそうです。

初年度の一番の売り上げとなったのは、シェクタージャパン(Schecter Japan)へのピックアップの製作&提供でした。

それというのも、アメリカにあったシェクター工場は、トムが退職してから数ヶ月後には閉鎖されてしまったため、ピックアップの製作方法を知るスタッフがいなくなってしまったそうで、トムに白刃の矢が立つことになりました。

元々のピックアップ開発もシェクター時代のトム・アンダーソンによるものだったという話も残っています。

ちなみに大きなポールピースが特徴的なそのピックアップは、現在のトム・アンダーソンのピックアップにもそのスペックが受け継がれています。

そしてシェクタージャパンは、まず300個のピックアップの買取ということで、トムと契約を結ぶことになります。
そうして昼はガレージでボディとネックと製作、夜はキッチンでピックアップを製作するという生活を送ったそうです。

自身の会社を立ち上げてからすぐに、もっと大きなスペースが必要であることを実感したトムは、立ち上げから1年後には約140m平方ほどのスペースを借りることにしました。
(そこは現在のトム・アンダーソン社の道を挟んで向かい側の場所だそうです)

当時、Rudy’s Music Stopにいたジョン・サー(John Suhr)、ニューヨークで工房を構えたロジャー・サドウスキー(Roger Sadowsky)、LAのジェームス・タイラー(James Tyler)など、自身の木工場を持たないルシアーたちに相当数のボディやネックを販売していました。

現在でも人気のあるハイエンドブランドを支えていたのは、トムだったようですね。

またOEMパーツを作成して、店舗などに卸すというようなこともしていたそうです。
当時の日本では、トム・アンダーソンのボディ/ネック/ピックアップを使って、ムーン(Moon)が国内で組み上げるというMoon/Tom Andersonコラボのギターも流通していました。

この時点ではまだギターそのものを完成形にまで組み上げたりはしていないものの、個人工房を営むルシアーたちへの影響や売り上げは相当なものだったようです。

~自身のブランドのギター製作へつづく~

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