ロジャー・サドウスキー ~トップベースブランド~その3
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/2/
マーカス・ミラーのベースにプリアンプの搭載などのモディファイをすることで生み出された“Sadowsky Sound”。
この改造はすぐに様々なミュージシャンに知られることになります。
そして、同様の工程が当時新星であったウィル・リーのベースにも本人のたっての希望で施されます。(ここからウィル・リーとサドウスキーは現在にも続くような長い関係を持つことに)
そのベースを使ったウィル・リーのサウンドをテレビで聞いたスタジオ&セッションミュージシャン達は、
“I can’t believe how good your bass sounds on TV.” (TVから聴こえる音が信じられないくらい良いな)
と言って、サドウスキー工房に駆け込んできたそうです。
本人はこの時のことを笑いながら語ってはいますが、実際のところはテレビの劣悪なスピーカーから聴こえてくるサウンドを褒められるのは、サドウスキー自身は何とも言えない気持ちだったそうです。
そういった評判を聞きつけたミュージシャン達は、こぞって自身の所有する60~70年代のフェンダーやギブソンのギターやベースをサドウスキーに持ち込みました。
1960年代のギターやベースは$1000もせずに買えることもあり、それらを購入したままに持ち込まれることも少なくなかったようです。
ちなみにその頃の顧客たちの95%以上が、ニューヨークのトップミュージシャンだったこともあり、彼らの所有する楽器は非常に質の高いものが多かったそうで、それらの楽器を見ることで、後の自身の楽器製作にも非常に参考になったそうです。
また、ちょうどその頃の(’74~80s)フェンダーやギブソンなどの大手USAギターメイカーの”質”自体がとても下がっていたこともあり、そういった新品のギターやベースの指板修正/リフレット/シールディング/ノイズ除去などの”アップグレード”も多くこなしていくことになりました。
1980年代半ばにかけて、ヴィンテージギターの急激な価格の高騰により、スタジオ&セッションミュージシャンたちには手に入れづらい価格になりました。(それまでの倍以上)
それを見ていたサドウスキーは、ギター&ベースの修理や改造と並行しつつ、大元からの製作にも踏み切ることにします。
~続く~