兄弟のようなギターのお話。
今回は他ブランド製品ながら、兄弟のような楽器のお話をしようと思います。
左 : Valley Arts 1992 Standard Pro Larry Carlton (Trans Cream)
右 : James Tyler 1996 Mongoose Special (TV Yellow)
テレキャスター系のボディシェイプ、スタック構造のP-100系ピックアップ、
TV Yellow系のカラーに黒いヘッドストックとプラパーツのところまでそっくりです。
しかし細かく見ていくと色々な違いがありますのでご紹介していきます。
まず製造開始ですが、James Tylerは1994年にMongooseの製造を開始します。
同じTylerで言うとBurning WaterやDann Huff Classicモデルと期を同じくして登場しています。
一方Valley Artsはその3年前1991年にこのLarry Carltonモデルを発表しており、
初回100本はヘッド裏にカールトンの直筆サインとナンバリングが施されていたそうです。
次にネックです。
TylerはGibson寄りのマホガニー材で、Valley ArtsはFender寄りなメイプル材が使用されています。
しかしスケールは逆にTylerは25.5インチ、Valley Artsは24.75となっています。
また最終フレットはTylerは22Fですが、Valley Artsは24Fで、
フロントPUの位置もこれにより異なるため音質にかなり差が見られます。
ボディに移ります。
材はどちらも同じくマホガニー材が使用されています。
1番違うのはボディサイズで、Valley Artsのボディーはかなりコンパクトに仕上げられています。
カールトンがこの楽器を演奏しているビデオを見ると、かなりギター自体が小さく見えます。
そのためValley ArtsのケースにTylerを入れると…
このようにはみ出ます。
そしてボディ裏を見るとヒールコンターの入り方も異なります。
TylerはアッセンブリーがGibson式でマウントされているので、
Vol/Toneコントロール用とPUセレクター用にバックパネルがあります。
対してValley ArtrsはFender式でピックガードにマウントされるためバックパネルはありません。
ただPUに関してはどちらも構造上ダイレクトマウントです。
いかがだったでしょうか。
比較的近い年代に製造され、似たようなコンセプトの楽器だからこそ、
メーカーごとの折衷のバランスの違いがわかりやすいですね。
皆様はどちら派か、是非店頭でお試しください。