ロジャー・サドウスキー ~トップベースブランド~その5
前回はこちら
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/sadowsky4/
ニューヨークのサドウスキーに1年間ほどインターンとして勤めたこともあったオカダインターナショナルの菊池嘉幸氏によるSadowsky TYOが始まり、日本でのライセンス生産も2003年に始まります。
それまでは、生産台数と価格のこともあって、ハイエンドブランドとしての知名度は比較的高いものの、流通量の少なかったサドウスキーがここから一気に沢山のプレイヤーたちのもとに広がっていきました。
NYCに一番近いもので、工程やパーツはほぼ同じで、菊池氏により組み込まれたものとなるTYOシリーズ。
コストパフォーマンスに優れたメトロラインシリーズ。
NYCのクオリティーを維持することを目標にして、カスタムオプションを付けずにスペックを固定することで価格を抑えて量産化したもの。
日本国内の複数箇所の工場で、塗装や組み込みなどを分担しているそうです。
アッセンブリーの心臓部であるピックアップ/プリアンプ/ブリッジはNYCで使われているものと同じですが、ボディの構造が大きな違いとなっており、NYCはチェンバード、メトロラインはソリッドとなっています。
メトロラインシリーズには、サドウスキー本人の意向で、完成品に対しての重量制限が4.5kg以内と定められているそうです。
木材の重量にかなりこだわりがあるようですね。
サドウスキー自身も日本で生産されるそのクオリティには満足していたようで、当時のサドウスキーウェブサイトにも、NYCのオプションが必要ないのであればメトロを買うことをお薦めするとまで記載していました。
ミュージシャンとの1対1の関係性や品質を最重要項目としていたということに、矛盾しているような気がするこのシリーズ。
実際、本人もインタビューの中で大量生産することに対しての恐怖心があったことを語っています。
しかし菊池氏の存在、日本の施設の素晴らしさ、日本のクラフトマンたちの技術の高さを知ったこと。
そしてラッカー塗装の採用が可能であることが分かったことで、製作に踏み切ります。
(ラッカーはかなり重要なポイントで、ポリエステル塗装にだけは絶対したくなかったそうです)
販売開始前には、日本から届いたギターを本人が非常に長い時間をかけて最終検品したそうです。
“世界戦略”モデルと銘打って、販売開始されたメトロラインシリーズはその質とコストパフォーマンスの高さで、非常に高い人気を得ることになりました。
そうして、2017年までにはシリーズ累計でなんと10,000本以上も製作されます。
~日本国内生産の終了に続く~