2018年3月11日 / 最終更新日 : 2018年3月11日 toshiakikasuya REGULAR 109『先輩の幾何学模様』 やっと、少し暖かくなってきた。 毎日のように春になっていくのがわかる。 高校生の頃はソレを 近所に咲く椿の花で確かめていた。 ボト!って、落ちるのである。 実際に落ちる瞬間は見た事がないのだが、 気がつくと、道端に赤が固まっている。 ソレを見るのが愉しみだった。 ボト!って、 音が見える気がしたから >> Read more
2018年2月28日 / 最終更新日 : 2018年2月28日 toshiakikasuya REGULAR 108『HELLO,GOODBYE』BEATLES/HELLO,GOODBYE 中学生に成りたての秋、 初めて実際に動く BEATLESの映像を見た。 『HELLO,GOODBYE』のPVである。 思い返してみると、 この年頃は誰だって好奇心に溢れている。 見るもの聞くものすべてが 新鮮なことばかりなのだ。 特に海外の音楽シーンの映像などは、 滅多にお目にかかれないレアな代物だ >> Read more
2018年2月15日 / 最終更新日 : 2018年2月15日 toshiakikasuya REGULAR 107『リセット/春』 1991年の初春、 初台にあった事務所をたたみ、 仕事場を自宅に移した。 練馬の農村住宅地である。 住民よりもキャベツのほうが目立っている。 コンビニよりも駄菓子屋のほうが、 存在感がある地域である。 それでも生まれ育った愛着がある。 僕は何年振りかで大きくのびをした。 「いやぁ、すっきりだべ〜」 >> Read more
2018年2月5日 / 最終更新日 : 2018年2月5日 toshiakikasuya REGULAR 106『マジカル・ミステリー・ツアー /ドロップアウト』 あっという間の2月。 この時間の流れの速さに、 すんごい驚いたのは僕だけだろうか。 コンビニのパーキングに車を停め、 皆既月食のうすら赤い光を眺める。 “あのときも、まん丸な月だったな” そのあわい月の光に なんだか懐かしい感情を想い起こしていた。 あれは、1991年の早春だったと想う。 清里のオー >> Read more
2018年1月20日 / 最終更新日 : 2018年1月20日 toshiakikasuya REGULAR 105『天風会館』”People at Tenpu Hall 1990″ / “天風会館にいた人たち 1990″aquilha mochiduki 「天風会館で演りませんか?」 そう、誰かに言われたのだろうか? それとも、いつも意外性のある 会場を探していたから、 天から風に乗って 情報が降ってきたのかも知れない。 「おいおい、馬鹿言っちゃイケないよ。ソコは俺らが教えてやったんじゃないか」 という輩が、きっといるのだろう。 確かに誰かが教えてく >> Read more
2018年1月8日 / 最終更新日 : 2018年1月8日 toshiakikasuya REGULAR 104『新年のご挨拶』 1991年の幕が上がった。 さっそく、新年の挨拶代わりの電話を 関係各方面にしようと思って 戸惑ったのを憶えている。 局番のアタマに3が付いたのだ。 東京23区だけなのだが、 今までの3ケタが4ケタになったのである。 「なんか面倒くせぇなぁ」 たったひとつの数字なのだが、 なかなか慣れなかった。 こ >> Read more
2017年12月23日 / 最終更新日 : 2017年12月23日 toshiakikasuya REGULAR 103『吉田くん/ザ・ダイナマイツ』Walking The Dog – The Dynamites 1968 10年ほど前になるだろうか? 冨士夫のライヴのために 器材を借りようとしているところに、 覚えのない人物から電話があった。 「もしもし、冨士夫がライヴやるんだって?」 「えっ!? はい、そうです」 って、答えるしかなかった。 知らない声だったからだ。 この前置きがまったくない 謎の声の持ち主は、 「 >> Read more
2017年12月13日 / 最終更新日 : 2017年12月13日 toshiakikasuya REGULAR 102『青ちゃんの命日/キース・リチャーズの誕生日』 12月18日はキース・リチャーズの誕生日。 こんな日に逝く青ちゃんは、 最後までカッコつけだった。 宵越しの金どころか そんじょそこらの呑み屋に 立ち寄る金も持たない。 しかし、気がつくと、 いつの間にか酔っぱらっているのだ。 「世も世なら、青ちゃんは傘張り浪人だな」 冨士夫にそう言わせるくらい、 >> Read more
2017年12月3日 / 最終更新日 : 2017年12月3日 toshiakikasuya REGULAR 101『延原達治/ザ・プライベーツ■その2』The Privates 「 Drive All Night 」 PV MV 「俺たちもレコーディングやってるから来いよ」 このとき、TEARDROPSは 『らくガキ』のレコーディングに入っていた。 そこに、冨士夫に誘われて ブルースハープを持った 延原達治が勇んで現れるのだ。 「俺も若かったからね、 カァー!っていう勢いでさ、 凄い吹き方をしたと思うんだ。 そしたら冨士夫さ >> Read more
2017年11月24日 / 最終更新日 : 2017年11月24日 toshiakikasuya REGULAR 100『延原達治/ザ・プライベーツ■その1』 よもヤバ話も、 今回でめでたく100話目になる。 一昨年の春に始めたのだから、 想いを巡らす月日は2年半を越えた。 ふっと、気がつくと、 アッチ側がやけに騒がしい。 冨士夫、青ちゃん、佐瀬による TEARDROPS の宴の席で、 耕や良のFools族が、 音頭をとっているのだ。 年末になると僕らは >> Read more
2017年11月10日 / 最終更新日 : 2017年11月10日 toshiakikasuya REGULAR 099『チコヒゲ/TEARDROPSに入る!』 西荻窪の南側、 神明通りと五日市街道の間は 碁盤の目になった住宅地だ。 車一台がやっと通れる程度の 一方通行が交差し、 古くからある住宅地の風景がある。 その一角にあるレトロな アパートの前で車を停めた。 外階段を上がり、 二階の角部屋のドアをノックすると、 ビシッと朱色のワイシャツを着こなした チ >> Read more
2017年11月1日 / 最終更新日 : 2017年11月1日 toshiakikasuya REGULAR 098『THE FOOLS/伊藤耕』MR.FREEDOM ジャガタラのアケミから借りた 真っ赤なギターを抱えて 冨士夫がステージに躍り出た。 真夜中も過ぎ、 明け方近くなった会場は、 にわかにどよめき、 突然に息を吹き返したかのようだ。 ベースのカズ(中嶋一徳)が 冨士夫を振り返って叫ぶ。 「初っぱなはEだから」 冨士夫がうなづくと同時に、 ドラムの佐瀬浩 >> Read more
2017年10月24日 / 最終更新日 : 2017年10月24日 toshiakikasuya REGULAR 097 『シーナ&ザ・ロケッツ/You May Dream』 とっても若い頃、 勤めていた会社が芝浦にあった。 芝浦って、今となっては、 なんだかシャレっぽい地域で、 高層マンションやらなんだかんだと ハイソなイメージさえあるのだけれど、 当時は、ただの倉庫街だったのだ。 田町駅の芝浦口を降りると、 殺風景な中に一本の直線道路が走っていた。 駅前通りって、 普 >> Read more
2017年10月13日 / 最終更新日 : 2017年10月13日 toshiakikasuya REGULAR 096『皆殺しのバラードを聴いたことあるかい?』/皆殺しのバラード 初めてのデートは中学の終わりだった。 練馬の農村住宅地育ちなので、 遊び場は新宿の歌舞伎町か、 池袋の北口くらいしか知らない。 都会から転校してきた友達が そんなとこじゃダサイって、 頼んでもいないのに デートプランを伝授してきた。 「有楽町で映画を観て、日比谷公園をブラブラするのだよ」 お坊ちゃん >> Read more
2017年10月7日 / 最終更新日 : 2017年10月7日 toshiakikasuya REGULAR 095『中秋の名月』/終わりのダンス 1990年の秋風がそぞろ吹くころ、 TEARDROPSはレコーディングに入っていた。 東芝EMIから早くも3枚目のリリースとなる アルバムの制作である。 しかし、辺りは雲行きがワルい。 夏が過ぎ、入道雲がうろこ雲に変わる頃、 すっかりと周辺の景色に、 陰りが見えてきたのである。 「天高く馬肥ゆる秋」 >> Read more
2017年9月19日 / 最終更新日 : 2017年9月23日 toshiakikasuya REGULAR 094『ビショップのリゾート』resort(山口冨士夫&加部正義) trailer ビショップは、ドラマーである。 冨士夫とはかつて、 2つのバンドで共に活動していた。 『ZOON』と『リゾート』だ。 残暑なのか何なのか、 さっぱりわからない9月の雨模様の夕暮れ。 小田急線『成城学園』の改札口で ビショップと会った。 初対面なのだ。 だから、本来は“ビショップさん”なのだが、 さん >> Read more
2017年9月8日 / 最終更新日 : 2017年9月8日 toshiakikasuya REGULAR 093『BO GAMBOS』BO GUMBOS with 山口冨士夫 / I’M A MAN 1990年9月8日金曜、 代々木公園の野外音楽堂で、 『BO GAMBOS』の フリーコンサートが催された。 そのステージに、前話『命の祭り』での冨士夫とは まるで別人になった山口冨士夫が登場する。 もっとも、この前日には 『TEARDROPS』のクラブチッタ公演があり、 緊張の糸がうまいこと繋がっ >> Read more
2017年8月28日 / 最終更新日 : 2017年8月28日 toshiakikasuya REGULAR 092『残暑/1990年大山・命の祭り』 なんだか、蒸し蒸しとモヤモヤして、 ちっとも気が晴れない。 そんな、真夏なのに梅雨のような気分でいたら、 持っていた全てのカードが裏返ってしまった。 「なんか、最悪な気分なんだけど」 冨士夫がいるときは、 そう電話すればよかった。 冨士夫は弱っている人間には、 めっぽう好意的なのだ。 「そんなときの >> Read more
2017年8月14日 / 最終更新日 : 2017年8月14日 toshiakikasuya REGULAR 091『高円寺/冨士夫の命日』 高円寺までママチャリで行った。 冨士夫の『こぼれ話本』を作ったはいいが、 少しばかり多く再刷りし過ぎて、 ベッドの横を占領しちゃってるからだ。 クルマで行くとサケが呑めないし、 電車のある時間に帰らない自信はアル。 すなわち、ママチャリカゴに本を入れて、 ギーコギーコ行けばいーのである。 「ぜんぜん >> Read more
2017年8月10日 / 最終更新日 : 2017年8月15日 toshiakikasuya REGULAR 090『ジニーの『リゾート』/その2』オルゴール その夜は、すこぶる調子が良かった。 さすがに金曜の阿佐ヶ谷は盛況で、 空いてる店を探すのもかったるい。 僕らは、ジニーの歩調に合わせて、 ふっと、目に映った 風通しの良さそうな店を見つけて 飛び込んだのである。 「そのころの私はさ、 まだベースを始めて数カ月だったんだ。 だから、マーちゃん(加部正義 >> Read more