[ニコニコ雑記] ”イギリスの”JHS

こんにちは、店長の野呂です。

今回は”イギリスの”JHSのお話をしようと思います。
(昨今、数多くのペダルが流通している有名なアメリカのエフェクターブランド”JHS”のことではありませんよ!)

JHSは”John Hornby Skewes”の略で、
現在はディストリビューターとしてFret-Kingなどの楽器やエフェクター・アンプを取り扱いしています。

ちなみに今回調べていて知ったのですが、Hornby Recorder名義でリコーダーの生産もしています。
(少し欲しいです。笑)

それはさておいて、なぜ今回”JHS”を取り上げるのか。
それは、エレキギター史において非常に大きな功績を残した歴史あるブランドだったからです。

遡ること50年以上前、JHS社が設立されたのは1965年。
YradbirdsのギタリストがJeff Beckに変わった頃です。

なぜMr.Tone BenderであるJeff Beckの名前を出したかと言いますと…、
JHSは世界初のTone Benderのコピーモデル”Zonk Machine”を作ったメーカーなのです!

最近話題のOrganic Soundから”Zorga Machine”として復刻されたので、ご存じの方も多いと思います。

Tone Benderのような形状のブルーハンマー塗装の筐体が特徴で、ほぼほぼTone Bender Mk.1と同じ回路が採用されています。
ほぼほぼと書いたのは抵抗値の違いがいくつか見受けられたり、Mk.1のトランジスタが”OC75/2G381”なのに対し、ZonkはOC75の他にも複数バージョンが見受けられるためです。

ちなみにTone Benderの生みの親であるゲイリー・ハースト氏はZonk Machineへの関与を否定しております。
Mk.1が登場したのが1965年夏、Zonk Machineが登場したのが1965年末と言われており、とてつもない速さでクローンが出回ったことになりますね。

ちなみにあくまでリイシューモデルで比較した際の音の印象になりますが、Zonk Machineの方がトレブリーなのと、ゲートが若干強く感じられました。

さてJHSの名作はこれだけではありません。
“Treble Booster”も製造されていたのです! (1967~69年の3年間のみ製造)

上記のZonk Machine同様のブルーハンマー塗装が施された筐体で、ノブは無くOn/Offのみが切り替えられる設計でした。
おそらくこちらの方がZonk Machineより知名度があるペダルかもしれません。

なぜかと言いますと、Ritchie Blackmoreが1971年発売のDeep Purpleのアルバム“Fire Ball”で使用しているからです。

そのためドイツのトレブルブースタークローン製作を主軸とするマニアックなエフェクターブランド“BSM”がラインナップする”FireBall”は、このHornby Skewes製Treble Boosterが基になっています。

厳選されたゲルマニウムトランジスタなどオリジナルと同じパーツを使用して製作されたこだわりのモデルとなっています。

ちなみにトレブルブースターといえばレンジマスターを始めゲルマニウムトランジスタを使用しているイメージが強いですが、Deep Purple後期になるとリッチーはシリコントランジスタが搭載されたものを使用していたようです。

BSM FireballはOnにするとかなり強力にゲインアップされる仕様です。(爆音!!)
比較的コンプレッションが強く、暗い音がするアンプに使うとかなり往年のサウンドに近づきます。
単体ではさほど歪みませんが、歪んだアンプに突っ込むとFuzz Faceのような操作感でコントロールが可能です。
(手元のボリュームを絞っていくと綺麗にクリーン〜クランチへ変化させることができます。)

また、Tone Benderのようにややトレブリーな音抜けのいいレンジ感になるので、マイアンプをお持ちで60~70’sブリティッシュサウンドが好きな方には強くお勧めいたします!

JHSはこの他にもシリコントランジスタ2石を使用したファズ”The Zonk II”や、Marc Bolanが使っていたとされる”Shatterbox”などの名作を生み出しましたが、悲しいことに現在はエフェクターの生産をしていません…。

ファズブームや復刻ブームにあやかってもう1度JHS名義で復活することを願っています!
Josh Scott氏の方の”JHS”(米ペダルブランド)に負けるな!

今回はこの辺で。

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