[ニコニコ雑記] グラムロック・ギターヒーロー “Mick Ronson”
こんにちは、店長の野呂です。
前回はデヴィッド・ボウイの名アルバム”ジギー・スターダスト”に関して取り上げさせていただきました。
今回は引き続き、その”ジギー・スターダスト”の頃にデヴィッド・ボウイを支えたギタリストである、
”ミック・ロンソン”について紹介いたします。
本当は「アルバム通して全曲のギターに関して紹介したい!」といったところですが、
数曲に絞ってお届けしたいと思います。笑
まず聴いていただきたいのが、このアルバムの表題曲で9曲目”Ziggy Stardust”です。
力強いコードストロークと繊細なアルペジオを組み合わせた印象的なギターリフからイントロが始まりますが、
最初のGコード一発で”かっこいい!!”と思わせる最高のサウンドです。
言葉で表現するのは難しいですが、
“ジュワー”といった感じの中域の豊かな倍音が美しいサウンドとなっています。
そして1stヴァースではメロウなロングトーンを用いたオブリで楽曲を彩り、
2ndヴァースでは一転して激歪みサウンドによるパワーコード・バッキングが展開されます。
ミディアムテンポな楽曲ながら楽曲構成にははっきりとした緩急があり、
それを最大限活かす演奏アレンジがこの曲を名曲たらしめている大きな要因ではないでしょうか。
架空のロックスター”ジギー”の波乱万丈な生涯が歌われた歌詞にリンクする、ドラマチックな楽曲です。
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続いてアルバムの3曲目、”Moonage Daydream”。
まさにこれぞ”ロックギター”といった、破壊力のあるコードストロークから幕を開けます。
そしてこの曲の聴きどころはなんといっても、曲の後半に長尺で展開されるギターソロ!!
おそらくワウを半踏み状態にしており、強烈にミドルレンジをプッシュした激歪みトーン。
そしてフィードバック寸前のロングノートにエコー・ディレイを重ねたサウンドは実に狂気じみており、
ものすごく印象的です。
こちらは前回紹介した73年のライブ映画『ジギー・スターダスト』でも演奏されていますが、
よりアグレッシブなものになっていますので必聴です。
ちなみに73年のライブでもエコー・ディレイのエフェクトは再現されており、
ペイジやヴァンヘイレンなどが使用していたことで知られる“MAESTRO ECHOPLEX”の存在が映像から確認できます。
(某動画サイトを検索してみて下さい!笑)
また驚くべきことに、この曲の音源でのストリングスのアレンジはミック・ロンソンによるもので、
さらにはピアノの演奏やバッキングボーカルもミックロンソンが担当しています。
マルチな才能を遺憾無く発揮しております。
なお、アルバム”ジギー・スターダスト”でピアノが入っている曲は全曲でミック・ロンソンが弾いています。
A面の1曲目“Five Years”もB面1曲目”Lady Stardust”も大々的にピアノがフィーチャーされた曲で、
個人的にもフェイバリッドソングです。
さて、グラムロック期のボウイを支えたロンソンですが、
当時どのような機材を使用してサウンドを構築していたのでしょうか。
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ギターは1968年製の”Gibson Les Paul Custom”。
(写真はGibson Custom Shop 2018 50th Anniversary 1968 Les Paul Custom VOS (Ebony Black) )
本人のものはペグがグローバー、トップのみ塗装を剥がしてナチュラルトップとなっているのが特徴です。
キャリアを追うと1970年に剥がされていることがわかります。
アンプは”Marshall Major 200W 初期型”に”1960A Cabinet”の組み合わせ。
200Wという驚愕のヘッドルームを誇る爆音仕様で、アクティブEQ搭載が特徴です。(初期型は世界に数台しかないとも言われているスーパーレア機材です。)
エフェクターは1965年のごく短期間にのみ製造されていたソーラーサウンド TONE BENDER(通称MK1)、ゴールドの筐体のモデルです。
本人の証言によると、ザ・フーのピート・タウンゼンドから譲り受けたものだそうです。
このモデルの他の使用者としてはジェフ・ベックが知られています。(これもウルトラレア機材です。)
この”トーンベンダー”は私の最も好きなファズペダルですので、
またの機会に詳しく紹介させていただきたいと思っております。
今回はこの辺で。