[ニコニコ雑記] ストラトのヘッド厚に関する夏の自由研究

こんにちは、店長の野呂です。

8月に入りました、今年はもう本当に信じられないくらい暑いですね。
東京では近頃ゲリラ豪雨が頻繁にあり、昨晩は数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測・解析した際の「記録的短時間大雨情報」が発表されました。
気象庁によると、今年の夏は梅雨明け後も安定した天気は続きにくく、残暑も厳しいとのことでしたので、過酷な夏が続くことになりそうです。

さて、カスタムショップから多くのリイシューモデルが生産されているストラトキャスター。

どの年代のモデルかによって様々な仕様上の違いがあることが知られています。
いくつか挙げてみましょう。

外観からわかりやすい年代による違いとしては、以下のようなものでしょうか。
・メイプル1ピースネックなのか、ロースウッド指板なのか、それはスラブ貼りorラウンド張りのどちらなのか。
・ロゴがスパロゴなのか、トランジションロゴなのか、CBSロゴなのか。
・ピックガードが1プライなのか3プライなのか。止めネジの数はいくつか。

ぱっと見ではわかりにくい細かな点としては、コンターの形状、ピックアップのボビンの素材やポールピースの面取りの形状、デカールのパテント、ネックシェイプなどなど、ほぼ全ての部分に年代別の違いがあると言っても過言ではありません。

今回はそんな中でも語られる機会が少ない、”ヘッドの厚さ”に関して取り上げることにいたします。
実際のヴィンテージでは年代別でヘッドの厚さに異なる傾向があることで知られていますが、カスタムショップ製はどのようになっているのでしょうか。
豊富なカスタムショップ製の在庫でヘッドの先端部分を計測し、平均的なヘッド厚を求めた結果が以下の通りです。

・1954年モデル:14.7mm

・1956年モデル:14.4mm

・1960年モデル:14.5mm

・1964年モデル:15.0mm

・1967年モデル:15.2mm

・1970年モデル:15.0mm

いかがでしょうか。10%以上の差となるような大きな違いはなく、微妙な差ですね。
ただ、’64年製以降では若干厚めとなっている傾向が確認できました。
今回様々な製造年のものから計測を行いましたが、例えば同じ2009年製の1960ストラトモデルでも実際に0.3mmほどの差があることも興味深い点でした。

ヴィンテージでは ’64〜’65頃にヘッド厚が増し始め、’66〜’68頃が特に厚さのある個体が多く存在することが知られています。
(ちなみに比較参考までに、在庫の’64年Jaguarで15.5mm、’67年製Duo Sonicで15.2mmでした。)
カスタムショップ製のモデルでも、ある程度のそのような傾向が認められると今回の計測結果から窺えます。

また、私自身が所有するカスタムショップ製の’60モデルと’64モデルはそれぞれ14.2mmと15.4mmでした。
たった1.2mm程度ですが、意外にも実際にこのくらいの差があるとパッと見でも厚さに違いがあることが分かります。

さらに余談ですが、レギュラーラインのUSA製ストラトではモデルや製造年を問わず13.0〜14.0mm程度のものがほとんどで、カスタムショップ製よりも薄い仕上げであることがわかりました。

これらの結果がサウンドにどのように影響するかに関しては考察が難しいですが、ヴィンテージのスペックに則して一定の傾向が読み取れたことは、カスタムショップ製品のこだわりを感じるポイントですね。

Gibsonのヘッド厚に関してもTrue Historic以降はより一層ヴィンテージのテーパー具合が再現されているとアナウンスされていますので、こちらもそのうち取り上げさせていただきます。

今回はこの辺で。

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