[ニコニコ雑記] 在庫のギターから独断でおすすめを選ぶなら#4 Fender ST

こんにちは、店長の野呂です。

それでは、第一回第二回第三回の続きです。
「在庫のギターから独断でおすすめを選ぶなら」と題して、私が自分用の楽器を選択するとしたら、どんなポイントを重視して選ぶのかを今回も紹介させていただきます。

そんなテーマで私が選んだギターがこちら!

Fender Custom Shop 2002 1960 Stratocaster Relic (Candy Apple Red) です!

これまで、”指板R”や”フレットサイズ”によって、サウンドや弾き心地がどのように変化する傾向があるのかを紹介いたしました。
今回は”ボディ重量”に注目して、どんなことに影響を及ぼすのかを考えてまいりましょう。

まず、私が選んだギターの重量が「3.54kg」となっています。
この重量を見て、皆さんはどんな印象でしょうか。

私の主観としては、「アルダーボディの2002年製ストラトとしては標準的な重量、近年製と比較すると少々重め」といった印象です。

また、これも正確なデータがある訳ではありませんが、Fenderの現行品のアルダーボディのストラトの重量に関しては概ね以下の傾向があるのではないかと考えております。

「Fender Custom Shop」
・90年代~00年代後半頃…3.50~3.60kg程度が平均的
・2010年代以降…3.40~3.50kg程度が平均的

わずかな違いではございますが、近年製の個体の方がやや軽くなっている気がしています。
(近年製で3.70kg台の個体は稀です。)

3.30kg台より低い重量となると、軽めな個体という印象です。
ちなみにここ数年で取り扱いした通常スペックのアルダーボディのストラトでは、3.10kgちょうどくらいが最軽量級と記憶しています。
(カスタムショップで使用される軽量なスワンプアッシュ材をボディに採用したストラトでは、アルダーのものより少々軽い3.00kg台のものもありました。)

さて、楽器を弾く時や持ち運ぶ時のことを考えると、軽いギターの方が楽であるというのは皆さんに共通の部分ではないでしょうか。
重いギターを立って弾いていたら肩が痛くなってしまったことがあるなんて方もいらっしゃることでしょう。

それならギターは軽ければ軽い方がいいのか。
軽いギターにも問題はあって、あまりに軽いギターの場合にはヘッド落ちしてしまって、左手でネックを支えながら弾く必要があって扱いにくい場合もあります。
(着ている服や使用するストラップの素材もヘッド落ちの感じ方に大きく影響します。)

個人的にはFenderタイプのギターの場合には、3.70kg以下のものが取り回し的には楽に感じます。
(4.0kgのジャガーを所有していますが、これは非常に重く感じます。不思議と4.0kgでもベースやレスポールなら気にならないんですけどね。)

また、こればかりは実際に構えてみないとわからないところですが、同じ重量でも重心の違いで重さが異なるように感じることもある他、ヘッド落ちする/しないも変わってまいります。
当店ではご試奏の際にストラップをつけていただいて、その辺りをご確認いただくことが可能ですので、ご希望の方は遠慮なくお申し付けくださいませ。

そして重量によるサウンドの傾向ですが、一般的に以下の傾向があります。

・重量が重いギター
-ローを強く感じる
-サステインで有利
-音の押し出し(パワー感)がある印象
-音の輪郭が明瞭で歪ませたときに埋もれにくい
-基音が強く感じられ、相対的に倍音は控えめに感じる

・重量が軽いギター
-ローがスッキリしていて相対的に中高域を強く感じる
-サステインは不利
-柔らかく温かみのある音が得られやすく、パワー感というより枯れた風合いを感じる
-深く歪ませるとボヤッとした音像で埋もれやすい
-倍音成分を多く含む傾向があり、深みのある音を得られやすい

私は今回選んだ個体のような、3.50~3.60kg程度の個体が歪み乗りが良い感じがして好きです。
皆様の理想のギターを探す際の一つの参考にしてみてください。

これまでの総括ですが、エレキギターの音というのは、本当にあらゆる要素が複雑に絡み合って決定されています。
今回まで重点的に取り上げた”指板R”、”フレット”、”重量”は音や弾き心地に大きな影響を及ぼしますが、各々のプレイスタイル、お好みの弦の種類やセッティングによって最適な選択肢は様々でしょう。
ブリッジサドルやペグやナットはFenderカスタムショップ製品では共通のパーツが用いられていますが、弦と直接接する部分なので音への影響が大きい部分です。
(加工して改造などしなくてもいろんなパーツを試せるのはFenderタイプの面白いところの一つですね。)

もちろんピックアップでも音は変わりますし、最近のカスタムショップではブレンダー配線を搭載しているものや、リアトーンが効くもの、トレブルブリードサーキットが搭載されているもの、コンデンサが2種類あって効き方がそれぞれ異なるものなど、電装系のスペックにも様々な選択肢がございます。

いずれにせよ、ギター選びは一つの要素にこだわるのではなく、総合的に判断してお選びいただくのがよろしいのではないかと存じます。
スタッフ一同、皆様のニーズに合わせてギターをお選びいただけるようお手伝いさせていただきますので、是非ともお気軽にお声掛けくださいませ。

今回はこの辺で。

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