[ニコニコ雑記] 孤高のギタリスト Jeff Beck ~3大ギタリストへの思い入れPart.2~
こんにちは、店長の野呂です。
前回に続き「3大ギタリスト」への個人的な偏った思い入れを語っていこうと思います。
ヤードバーズへの加入順に辿っていこうと思いますので、今回はクラプトンの次にヤードバーズに加入した”ジェフ・ベック”氏についてです。
ベック氏は1944年6月24日生まれで、2022年3月現在で77歳です。
4月を起点とした日本の暦ではクラプトンと同級生ということになります。
ヤードバーズに加入したのは1965年、21歳の時です。
そんなジェフがヤードバーズ期に残した名演ですが、まずはなんと言っても“Heart Full of Soul”でしょう。
過激なギターリフがイントロから聴けるわけですが、荒々しく歪んだサウンドはまさにブリティッシュロック創世記を感じさせる音です。
(個人的に超好きな音です。)
ライブ演奏の映像も残されていますが、これぞFenderギターのリアピックアップというサウンドがたまりませんね。
この頃使用していたギターといえば、映像でも確認できる通りお馴染みの1954年製と言われているエスクワイヤです。
ボディトップにコンター加工が施されている点が特徴となっており、一目見たら忘れない印象的なルックスですね。
(James Tylerのベアアームコンターのようです。)
ちなみにボディバックにも同様にコンター加工が施されています。
Fender Custom Shop Tribute Seriesより、2006年に全世界150本限定でこちらのレプリカがマスタービルダー達によって制作されています。
驚くべきことに、当時ジェフが入手した時には既にこのような加工が施されていたようです。
いったいどこの誰がやったのかは不明ですが、削った部分の木部が剥き出しになっているままという点がかなり大胆ですよね。
かの名盤“ブロウ・バイ・ブロウ”のレコーディング時に”テレギブ”とトレードでSeymour Duncan氏の手に渡りましたが、後年のインタビューでは少し後悔している旨を語っていました。
それもあってかレプリカが完成した時、「あのギターが帰ってきたと思った」というエピソードを嬉しそうに語っている姿がかわいかったです。笑
アンプは前任のクラプトンやこの頃の他のブリティッシュバンドよろしく、VOXのAC30やSuper Beatleなどを使用しています。
さて、ここでファズが大好きな私としましては歴史的瞬間が訪れます。
“トーンベンダー”がついにヤードバーズの音源で使用されたのです!
ジェフがこの頃使用していたのが”Tone Bender Mk.1”というモデルで、金色の筐体にゲルマニウムトランジスタ3石回路が特徴です。(MK.1の発売は65年夏頃と言われています。)
一部資料では彼が使用していたのは木製の筐体に入ったプロトタイプ説がありましたが、ライブ等の画像を見る限りだと製品版の筐体のものを使っている説が有力です。
私個人もトーンベンダーの設計・開発者であるゲイリーハースト氏がハンドメイドで復刻したモデルを所持・使用していますが、特徴は圧倒的な爆音・爆歪、そしてロングサステインでクリーミーなトーンだと思います。
以前にも少し取り上げたミック・ロンソン氏の使用でも有名なペダルです、こちらはまたの機会に掘り下げて参りたいと思います!
この後アルバム”Roger the Engineer”を含む数々の名演を残したものの、バンドメンバーの仲は当時最悪だったらしく、1966年にはYardbirdsを脱退してしまいました。
ヤードバーズを抜けたジェフが取り組んだのは自身のリーダーバンド“Jeff Beck Group”です。
ジェフ・ベック・グループは1969年のウッドストックを直前に1度解散しているため、第1期、2期に分かれて認識されております。
TruthとBeck-Olaは第1期、Rough and ReadyとJeff Beck Groupは第2期の作品です。
この1期と2期の間でジェフのメインギターがレスポールからストラトに移り変わっていきます。
ただし、この頃はまだピック弾きがメインですので、依然としてYardbirdsの頃に通ずる攻撃的なサウンドが演奏の随所に感じられる点にも注目です。
そして、ここで機材面でもう一つ大きく変わった点が見られます。
“OEM生産 Tone Bender勢”がジェフの足元に登場して参ります。
まず第1期JBG時代に登場するのが、”Marshall Supa Fuzz”です。
Supa Fuzzは1967年からSola Soundsが生産しているペダルで、回路的には”Tone Bender Professional Mk.2”そのものです。
(このTone Bender Professional Mk.2はジミーペイジの使用で最も有名です。)
そして70年代に入ってストラトとセットで登場したのが、”Colorsound Over Driver”です。
Overdriverには前身モデル”Power Boost”というモデルも存在しており、Tone Benderを改良した回路で、シリコントランジスタが3石使用されています。
そこから進化したOver Driverはより歪みやすい回路になったものの、コントロールはDriveとEQしかなく、ジェフベックは後にマスターボリュームを増設して使用したようです。
いずれのペダルもアグレッシブなサウンドを創出しており、必聴です。
さてまた2000年代に入れず、70年代も脱せていませんが、個人的な思い入れが1番強い時期でしたのでついつい長くなってしまいました。
いずれシグネチャーモデルのストラトを使用するようになってからの時期にも言及して参りたいと思います。
次はジミー・ペイジ編になります。
今回はこの辺で。