[ニコニコ雑記] Fender製品コントロールのバリエーション その3 ~Vintage Mod. #2 Wiring~
こんにちは、店長の野呂です。
それでは、前回&前々回の続きで今回もFender製品のコントロールに関して取り上げます。
今回ご紹介いたしますのが、前回紹介した“Vintage Mod. #1 Wiring”の発展系である”Vintage Mod. #2 Wiring″です。
それが搭載されている当店の在庫がこちら!
Fender Custom Shop 2019 Limited 1963 Stratocaster Heavy Relic (Aged 3-Color Sunburst)
”Vintage Mod. #2 Wiring″は2017年頃から採用され始めたコントロールです。
5wayセレクター、マスターボリューム、フロント&センタートーン、そして独立したリアトーンとなっています。
コントロールの内訳に関しては、“Vintage Mod. #1 Wiring”と同様です。
では、いったい何が違うのか。
こちらが内部の写真です。
”Vintage Mod. #2 Wiring″もトーンポット用のコンデンサーは“Vintage Mod. #1 Wiring”と同様のものが搭載されていますが、ボリューム・ポットに何やら大きな円柱形のものが追加で搭載されています。
一見するとこれもコンデンサーのように見えますよね。
写真では少々見えにくいですが、「TONE SAVER RG2775 205KA VOL TREBLE BLEED」と記載されています。
実はこれは、”コンデンサーと抵抗”が内部でまとめられているパーツで、表記の通り「トレブル・ブリード回路」として働く役割を果たしています。
(いわゆる従来のハイパスコンデンサーに改良を加えたような効果をもたらします。)
通常、ギターはボリュームを絞っていくと徐々に高音域が失われ、ボリューム10の時と比較して音量だけでなく音色も変化します。
従来のハイパスコンデンサーは、コンデンサーの”高域を通しやすい性質”を利用することで、ヴォリュームを絞っても高音をそのまま保つことが可能になるという仕組みです。
(トーン用で使用されるコンデンサーよりかなり小さい値のものが通常使用されます。”高域を通しやすい”のにトーンノブを絞ると高域が失われるのは、コンデンサを通った高域がアースに落とされて出力されなくなるためです。)
トレブルブリード回路を設計したフェンダーのエンジニアであるジョナサン・パリッシュ氏は、この従来のハイパス回路における問題点として、ボリュームを下げていくと相対的に低音が出なくなってしまうことを挙げています。
そこで、低域を補強する目的で最適な値の抵抗を追加したのが、この「トレブル・ブリード回路」となっています。
(このパーツの内部には、コンデンサーに対して2つの抵抗が組み合わされており、一つの抵抗は直列に、もう一つの抵抗は並列に取り付けされているようです。)
また、通常のボリュームコントロールの場合だと、高域が失われることで聴覚上では急にボリュームが下がったように感じることがあります。
EQバランスが変わらないままボリュームが落ちることで、ボリュームカーブが緩やかに感じられる副次的なメリットもございます。(他社の多くではスムーステーパーと称しています。)
近年製のカスタムショップ製品にはこの回路が多く採用されており、実際に非常に使い勝手が良いと感じます。
このパーツは「FENDER TONE SAVER – 250K」という名称で個別に販売されていますので、皆さんがご使用中のストラトにインストールしてみるのも面白いのではないでしょうか。
今回はこの辺で。