[ニコニコ雑記] 3PUギターのコントロール 〜Gibson 番外編〜
こんにちは、店長の野呂です。
前回に引き続き、3PU仕様の楽器のコントロールに関して取り上げます。
今回は前回紹介した王道のGibson製3PUモデル(LP CustomやSG Custom)とは異なる、イレギュラーなGibson製品編になります。
まずはこちら、Gibson Custom Shop 1998 Historic Collection 1957 Les Paul Custom “Mickey Baker” (Ebony Black) です。
1995年~2005年の間にオーダーされた分のみ少数生産されたモデルで、2003年にROLLING STONEの”100 GREATEST GUITARISTS OF ALL TIME”にも選出されたギタリストであるミッキー・ベイカーが1957年にカスタムオーダーして製作されたレスポールカスタムと同様の仕様となっています。
一見すると3PU仕様のレスポールカスタムですが、ノブの配置が異なることにお気づきになったことでしょう。
そして驚くべきことに3weyのPUセレクターが存在していません。
通常のセレクタースイッチ部分にはマスタートーンノブが配置され、直線上に並べられた3つのノブがそれぞれのPUのボリュームという風変わりなコントロールとなっております。
なので、例えばリアPUを選択したいときには、その他2つのボリュームを0にしておく必要があります。
(ジャズベースに近い回路です。)
3つのPUを任意の出力バランスで組み合わせることで豊富な音色のバリエーションが得られますが、その反面リアからフロントへワンタッチで切り替えするような一般的なエレキギターでは普通に行える操作ができないという難点があります。
この辺りはシグネチャートーンが確立されているアーティストモデルならではの仕様かもしれません。
3PU仕様ではないギターのため余談ではございますが、ジャズベースのようなコントロールを採用しているギターとして他にピンストライプが特徴的な Gibson Custom Shop 2014 Billy Gibbons 1957 Les Paul Gold Top (Gold) があります。
PUセレクターがなく3ノブ(2ボリューム、マスタートーン)となっており、これもアーティストモデルならではの仕様ですね。
続きまして、こちらもアーティストモデルとなります。
Gibson Custom Shop Alvin Lee Signature ES-335 (Cherry) です!
通称”Big Red”と呼ばれる本人が愛用していた1959年製のES-335を復刻しています。
(ネックトラブルによってファクトリーリペアがあった事情からポジションマークがブロックとなっています。)
カスタムピックガード、TP-6テールピース、数々のステッカーなど見た目のインパクトのあるモデルですが、非常に特徴的なのはなんといってもセンターに増設されたストラト用シングルコイルピックアップです。
また、ノブがピックガードに近い位置に1つ増設されて合わせて5個になっています。
コントロールは、3way PUセレクターと初期の4つのノブの役割は変わりなく、増設されたノブがセンターシングルコイル用のボリュームとして働きます。
なので、このセンターPU用ボリュームをゼロにしているときには普通の2HレイアウトのES-335と同様のコントロールで動作します。
通常のリア単体・リア&フロント・フロント単体にセンターPUをボリュームノブで追加していくことが可能なので、ハーフトーンも3PU全てを鳴らすようなことも可能です。
リアとフロントのボリュームを絞り切ることでセンター単体の音も使用可能です。
音色バリエーションが多様ながらも操作性に優れたコントロールとなっており、これなら非常に使い勝手がよさそうですね。
ライブ向けの実践的な仕様なのは、実際に本人が使用しながら試行錯誤したからではないでしょうか。
もしも2H仕様のGibsonギターにセンターPUを増設しようと思い立つようなことが将来あったら、私はこのコントロールを採用することにいたします。
今回はこの辺で。