[ニコニコ雑記] George Harrison の Duo-Jet !! “The Old Black Gretsch” 後半
こんにちは、店長の野呂です。
それでは、前回からの続きで、ジョージが実際に使用していたジェットに関する小話をいくつか紹介したいと思います。
・入手の経緯 ~初めてのUSA製ギター~
ジョージはこのジェットを入手するまでチェコスロヴァキア製のFuturama(フュチュラマ)のギターを使用していました。Futuramaはフェンダーギターに影響を受けたデザインで当時安価に入手できたが、音はチープで弦高が高く弾きにくいと感じていたようです。
ジョージは機材への関心が高く、様々な音色を試してサウンドの向上を図る中で常に新しいギターを欲していましたが、当時の英国ではアメリカ製のギターは希少で高価だったため中々その機会はないようでした。ちなみに一度ハンブルグで白のストラトキャスターが売りに出されているのを発見し、それを買おうとしたが紙一重のタイミングで他の人に買われてしまったジョージは、「すごくがっかりして一生のトラウマになった」 と発言しています笑。楽器がお好きなみなさんにはきっと似たような経験があるのではないでしょうか?余談ですが、ジョージがもしこの時ストラトを手にしていたらその後のビートルズの音楽性はまた違っていたものになっていたのだろうか・・・なんて考えるのも楽しいですね。
その直後、地元リバプールの新聞に広告が出ているのを見つけたジョージは、アメリカでグレッチ・デュオ・ジェットを買って持ち帰ったリバプールのタクシー運転手で元商船員のイワン・ヘイワードからギターを90ポンドで購入することに成功しました!!(ジョージは75ポンドしか持ってなくて残りは借金したんだとか。ちなみに当時の90ポンドは現在の感覚でいうと40~50万円ほどのようです。)
欲しいギターを買った時ってワクワクしますよね。なんでも、ジョージも手に入れてからは嬉しくて嬉しくて毎日丁寧に磨いていたんだとか。とても親近感を覚えるエピソードですね!
・使用時期 ~ビートルズ初期、そしてソロ後期のクラウドナイン~
入手後、キャバーン・クラブやハンブルクでのライブや64年のヨーロッパ/アメリカツアーで使用した他、デビューアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』のレコーディングで使われました。「I Saw Her Standing There」、「Love Me Do」、そして「Twist and Shout」で聞けるサウンドがデュオ・ジェットによるものだと思いを馳せながら聴くと、音楽鑑賞の楽しみ方が広がって嬉しく思います。
1963年半ば以降他のグレッチギターを使用する頻度が増え、ジョージは1966年頃デュオ・ジェットをベーシスト兼アーティストのクラウス・フォアマンに贈りました。(クラウスフォアマンは、1966年のビートルズのアルバム「リボルバー」のジャケット・デザイナーとして有名なハンブルク時代からの長年の友人。ジョンレノンのソロ作品やルーリードの『トランスフォーマー』でもベーシストとして参加しています! )
こうしてフォアマンはその後約20年間グレッチを所持していましたが、ジョージからの頼みでデュオ・ジェットを返却する時がきます。そして大成功を収めた1987年のアルバム『クラウドナイン』のジャケット写真でデュオ・ジェットが使用されることになります。どうですか!このジョージの写真!!キマり過ぎじゃないですか?ギラギラのサングラスを纏ってヒゲを生やしたジョージ、ワイルドでめちゃくちゃかっこいい・・・。
現在、当店の在庫には他にもジョージゆかりのギターを取り揃えております!!
”Gibson Custom Shop 2013 1957 Les Paul Harrison-Clapton “Lucy” Aged (Red)”
”Fender Custom Shop 1990 1969 Rosewood Telecaster (Natural)”
こちらも是非チェックしてみてください!!