ロジャー・サドウスキー ~トップベースブランド~その5
その4はこちら
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それまでのメトロラインに加えて、2018年にはメトロラインエクスプレス(Metroline Express)シリーズというさらにコストパフォーマンスに優れたシリーズが誕生。
“工房”生産のメトロラインのクオリティを、”工場”生産で実現することをコンセプトにしたシリーズでした。
メトロラインは30万円前後、メトロラインエクスプレスは20万円前後。
プリアンプなどのパーツなどはメトロラインと同じ。(つまりNYCとも同じパーツ)
工場での”大量生産”により価格を抑えたものになりましたが、このシリーズが始まってから、なんと2年も経たずにの日本の工場での生産は突然の終了を迎えます。
非常に唐突なような気がしますが、当初から予定していたことのようにサドウスキーはインタビューで語っています。
そうして、2003年から始まった日本でのライセンス生産は、2020年初頭からはドイツのワーウィック(Warwick)にライセンス生産を移すことに決まります。
この発表がされたあとには、
“サドウスキーはとうとう引退するのか??”
など、多くの人からの様々な憶測を呼びました。
その後、公式サイトで本人からの声明が出されます。
“まず皆様に言いたいことは、私は引退しない”
ということでした。
ライセンス生産の移行に踏み切った最大の理由は、販売などに関する事務などから開放されたいというサドウスキー本人の希望でした。
日本のディストリビューターは基本的に日本国内向けの販売のみを取り扱っており、それ以外の国々でのメトロラインシリーズなどの販売に関してはサドウスキー本人とNYCの関係者が諸々を行なっていました。
しかし、年齢を重ねるごとに自身のワークベンチのみで作業に没頭したいという欲求から、新しいパートナーを探すことにしたそうです。
実際、NYCでのバックオーダーは溜まり続けていたようで、クライアントから”いつ完成するのか?”などの問い合わせも絶えなかったようです。
施設のクオリティと世界的なディストリビィーションが可能な場所を探した結果、サドウスキーはドイツのワーウィック(Warwick)を選ぶことにしました。
本人曰く
“アメリカ~韓国~日本と色々回って見てきたが、これまで見たことのないような素晴らしい施設を持っていた。”
とのこと。
加えて、カーボンニュートラル (CO2排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態)であったことも大きな理由になったそうです。
ワーウィック社のハンス・ピーター・ウィルファー(Hans-Peter Wilfer)は、サドウスキーからの提案を快諾し、2019年にに契約を結び、2020年に生産を開始。
メトロラインはドイツ、メトロエクスプレスは中国での生産となりました。
パンデミックが始まったことで、Sadowsky NYCの従業員は11人から四人になり、より小さな工房に。
現在は、ディーラーからの注文は受け付けずに、顧客からの直接のオーダーのみで対応しています。
サドウスキーは顧客との直接のやりとりをすることに幸せを感じているそうです。
~終わり~