定番となったモディファイドスペックについて ~Fender編 その2~

こんにちは。スタッフの鹿毛です。

前回に続き今回もFenderのアーティストモデル由来のモディファイドスペックについて取り上げていきたいと思います。


Fender 2014 Mexico Kurt Cobain Jaguar NOS (Sunburst)

後編となる今回、まず取り上げるのは「Tune-O-Matic Bridge」についてです。
JaguarやMustangへは主にKurt Cobainが、Jazzmasterへは主にJ.MascisやThurston Mooreが搭載していました。
謂わゆる「弦落ち」「共振」「チューニング精度」「サステイン不足」などの、Mustang/Jazzmaster/Jaguar等オフセットモデルが抱える愛すべき弱点を補って演奏性を向上するためのモディファイとして流行しました。
現在では、本家Fenderに於いてはFender Mexicoの「Classic Player」シリーズや、その他のメーカーに於いても上記の問題点を解決すべく採用されているものの印象が強いです。
個人的には、僕がオフセットモデルを手にする入り口となったフジゲン製のMustangにも搭載されていたので、とても馴染みや思い入れのあるモディファイです。
また、これらオフセットモデルのブリッジ周りのモディファイには、Jazzmaster/Jaguarのフローティング・トレモロのブリッジのコマをMustangのものに換装したり、「Mastery Bridge」やFenderによる開発の「RSD」等のパーツも現在新たに生まれています。
話は脱線してしまいますがかくいう僕自身も、僕の所持しているJaguarには用いる上での様々な不具合を解消するためにMastery Bridgeを搭載しています。弾き心地だけで言えば純正のブリッジの方が好みではあったのですが…。

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Fender Custom Shop 2013 Michael Landau Stratocaster Heavy Relic (Fiesta Red/Sunburst) – ボディ側から指板面へ

次は見た目にはわかりにくいところですが…。7.25Rの指板とJim Dunlop「6105」フレットの組み合わせです。
2013年に発売されたMichael Landau Stratocasterを皮切りに、それ以降Fender Custom Shopに於ける’63年モデルのストラトキャスターをはじめとしたラウンド貼りローズ指板のモデルによく採用されるようになりました。
「音詰まり」などの演奏性の問題点を解決すべく、主にヴィンテージギターを実用するプレイヤー達が行っていたモディファイです。
しかしながら、例えば9.5RにRを変更するような謂わゆる「モダンスペック」へは寄せることはせずに、ヴィンテージスペックの7.25Rのまま、大きめのフレットが打たれているのには理由があります。
ラウンド貼りローズ指板のラディアスを7.25Rから9.5Rに修正する場合、7.25Rに合わせて貼った指板を削るため、真ん中だけ薄くなってしまうという事態が発生します。
「それは避けたいけれど演奏性を改善したい」ということで、高さもあり幅も比較的広めの6105フレットを打った、ということです。

今回は、前回よりもう少し踏み込んだところの”プレイヤビリティ”寄りのモディファイドスペックについて紹介させていただきました。
時代と共に移ろうプレイスタイルに合わせて変化/進化していくこれらの機構には、大きな背景やロマンを感じずにはいられません。
こうして想像が掻き立てられて楽しくなるたびに、”モディファイド”好きで良かったな、と強く感じます。

それでは。

Fender 2016 Mexico Kurt Cobain Jaguar NOS (Sunburst)

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