燦然と輝く愛しき名脇役たちについて ~中編~

こんにちは。スタッフの鹿毛です。
今回も前回に引き続き、愛しきオフセットモデルたちについて取り上げていきたいと思います。

80年代前期のFenderのプロダクトといえば、やはりまずはこれまでの”Musicmaster”や”Bronco”からの流れを汲んだ”Lead I/II/III”や”Bullet 1/2″が思い浮かびます。しかし残念ながらこれらはオフセットボディではなく、「オフセットを取り上げる」と述べたこの記事内では紹介できないのです…。
当店に入荷した際には必ずや紹介させていただきたいので、個人的に心待ちにしています…!

まずは、僕も1本所持している”Super-Sonic”です(このSuper-Sonicは私物です…)。
1996年、SquierよりVista Seriesにて登場したモデルで、日本の富士弦によって製造されていました。カラーリングはOlympic White/Black/Blue Sparkle/Silver Sparkleがラインナップされていました。製造期間が非常に短く奇抜なルックスも相俟って、現在でもSuper-Sonicを探し求めている人(僕もその1人でした…)が居るとか居ないとか。
JazzmasterやJaguarをひっくり返したようなボディに、ショートスケールにリバースラージヘッドのネックが取り付けられています。このギターをデザインしたJoe CarducciはJimi Hendrixの大ファンで、ジミが右利き用のJaguarをひっくり返して使用していたところから着想を得た事により、このような特徴的なルックスになったそうです。
また、2ノブにスラントしたハムバッカー2基、3Wayトグルと一般的なコントロールの様に見受けられますが、実際は2つのノブは各ピックアップのボリュームでトーン回路は搭載されていません。このため片方のボリュームを絞っておけば、スイッチング奏法を行うことも可能なんです。最強で最高ですね。
僕の所持しているものは後年Fender Mexico Pawn Shopによりリイシューされたもので、Vista Seriesのものはピックアップのマウントがリアのみのスラントになっていますが、Pawn Shopは両方スラントしていて互い違いのゼブラの”Atomic Humbucking Pickup”が搭載されています。カラーリングのラインナップもApple Red Flake/Dark Gunmetal Flake/Sunfire Orange Flakeとなっており、Vista Series期とは異なり暖色のものが増えました。
また、Super-Sonicは2020年にSquier Paranormal Seriesよりスポット的に生産されましたが、こちらのモデルはリアのみのスラントに戻っています。カラーリングもGraphite Metallic/Ice Blue Metallicと寒色系で初代Squierを意識したものとなっている様に思います。ゼブラのハムバッカーはFender Mexico Pawn Shopのモデルを彷彿とさせますが…。きっと”合いの子”的なものなんでしょう。

次はSquier Vista Seriesではありませんが、その流れを汲んだであろうFender Japanによるスポット生産の”Jag-Stang”です。
1990年代初頭に、MustangとJaguarをともに愛用していたKurt Cobainによりこれらを”合成”したギターのアイデアが持ちかけられ、以来1994年にカートが亡くなるまで製作が続けられました。最後のプロトタイプがFenderにより発送され到着する直前にカートが亡くなってしまったため、Sonic Blue/Fiesta Redでそれぞれ仕上げられた2本をカートは目にすることがなかったそうです。その後、Jag-StangはFender Japanによって1995年より1999年まで生産されます。2004年には10年の区切りとして再販され、今でも根強いファンの居る楽器であると思います。
Mustangよりもさらに鋭角になりエッジの効いたボディに、カートの気に入っていたMustangのネックよりプロファイリングされたショートスケールのネックが製作され取り付けられていました。そこにMustang同様に”Dynamic Vibrato”や2つのスライド・スイッチなどのコントロールを搭載しています。
“プロトタイプ”のものにはフロントのシングルにTexas Special、リアのハムにDiMarzio H-3が搭載されていました。また、Fender Japanにより再販されたモデルにはいずれもそれらを模してデザインされたピックアップが搭載されていました。
人と人とが絡み合って歴史が形作られた楽器ということもあり、大事にコレクションされていたり現在でも探している人が居るのにも心から深く頷けます。

やはり好きなものの中でも特別好きなもののことになると話をしたくて、深く掘りたくてたまらなくなってしまうのですが、それについて調べてさらに深めて行くことができるのは、本当に幸せなことだなと思いました。
次回は近年に登場したモデルについて取り上げられたらな、と考えています。

それでは。

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