色々なネックジョイント その2
前回(https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/neckjoint/)は
ネジを外せばネックも外れるボルトオンのモデルのお話でした。
今回はレスポールを代表するセットネックについてです。
接着してありますのでネックを外す事は出来ませんが、フロントピックアップを外すと
どのような構造になっているかおわかりいただけると思います。
まずはショートテノンと呼ばれるタイプです。
USAラインやHistoric CollectionでないCustom Shop製品に採用されていることが多いです。
ちなみに”Historic CollectionでないCustom Shop製品”は主に”CSから始まるシリアル”が打たれ、
モデル名に”1959等の年式が入っていない”というモデルを指します。
少し話がそれましたが実際どうなっているかご覧いただきましょう。
こちらはGibson USAの1996年製Jimmy Page Les Paulです。
ボディの断面が見えるだけでネック材はPUキャビティに達していません。
次はロングテノンです。
1960年までに製造されたオリジナルのレスポールやそれに準じたスペックの
Historic Collectionモデルlはこのタイプのネックジョイントになっています。
2014年製Historic Collectionの58 Les Paulのジョイント部ですが、
ネック材がフロントPUの下まで貫通しているのがわかります。
ただし貫通した部分はネックの太さよりは少し細く形成されており、
刺さっている末端もフロントPUキャビティの2/3ほどまでしか来ていません。
とは言ってもボディ6弦側には支えとなるショルダーがありますし、
トップとバックにも支えられているので強度的には大丈夫なんでしょうね。
しかしそこでは満足しきれないのがギターヲタクのポールさん、Paul Reed Smithです。
こちらは2013年製 Custom 22モデル。
ボディを貫通しているのはもちろんのこと、
フロントPUの下に見えるのはほぼネック材のみです。
元々PRSはPre Factory時代からダブルカットのLes Paul SpecialやJrを元にギターを作っていました。
しかし50年代製のLP Special DCにはネックが外れやすいという問題点があり、
ネックの再接着が行われるのがお約束となっています。
そんなわけで完璧主義のポールさんは新たなジョイント設計により
ダブルカットの楽器特有の剛性とサスティン不足という弱点を克服したのです。
ネックジョイントはサスティンや剛性に関わる重要な部分ですが、
ただきっちりしていれば楽器としていいわけでもありません。
特にGretsch等のアメリカンで味のあるサウンドはルーズな組み上げにより出ている場合もあるのです。
1弦カッタウェイからネックと垂直に棒を刺して止められていたり、
ジョイントプレート下から垂直に刺さった棒が隠れていたりします。
なかなか原始的かつ大胆な構造ですね。
ぱっと見の違いが少ないセットネックも、ブランドにより見えないところのこだわりがあるのかもしれません。
それではまた。