鮮やかなものから落ち着いたものまで マルチレイヤー・フィニッシュについて ~カスタムカラー編~

こんにちは。
間が空いてしまいましたが、今回は前回に続きマルチレイヤーについて取り上げていきたいと思います。

前回のサンバースト編はこちらから。(https://bit.ly/3LBf9Tf)

さて今回は「カスタムカラー/カスタムカラー」のマルチレイヤーを取り上げます。
ヴィンテージに存在しなさそうな組み合わせも作ることが出来るので、逆にカスタムショップやハイエンド系・コンポーネント系ならではのルックスの楽器が出来上がっています。


Fender Custom Shop 2020 1960 Stratocaster Relic (Black/Black Paisley)

まずはこの楽器から。こちらは 2020年製「1960 Stratocaster Relic」です。
なんと言っても絶対にオリジナルには存在し得ない組み合わせを作った勇気が素晴らしいです。

下の層にブラックペイズリーという派手で映えるカラーがあるにも関わらず、ペイズリーの露出が思ったよりもかなり狭い範囲なので「エルボーコンターだけなんか変では?」→「近くでよく見たい!」と思わせる秀逸なバランスに仕上げられています。

裏面も控えめですね。
遠くから見ればブラックの1960モデルのストラト、というかなり落ち着いた普通のルックスのギターなので、「派手なギターは苦手」という方でもあまり躊躇せずに使えそうなのでは、と思います。


ちなみにマッチングヘッドです。最高ですね。


Fender Custom Shop 2017 MBS 1962 Stratocaster Heavy Relic Master Built by John Cruz (Faded Surf Green/Black)

次は(中々な理由でFenderをクビになっておきながら、)現在でも非常に人気が高い元マスタービルダーJohn Cruz氏の「1962 Stratocaster Heavy Relic」です。

こちらはまだJohn Cruz氏がFenderに在籍していた際に製作した個体ですが、黒の上にサーフグリーンというかなり珍しいマルチレイヤーになっています。
サーフグリーンは60-65年、ブラックは60-84年までカスタムカラーなので、当時作られていた可能性は非常に低くやはりこちらも「カスタムショップならでは」のカラーリングですね。

トップ側はコンター部のみレイヤーのブラックが覗いているので、前回取り上げた「Michael Landau 1963 Stratocaster」の様に下にはサンバーストが塗ってあるかと思いきや、ボディバックを見ると中央も黒いのでカスタムカラーのブラックだと判明しますね。

またマルチレイヤーにはあまり関係ありませんが… ジョン・クルーズはレリックが上手だなと改めて思いました。
個人的にはピックガードのヤケがグラデーションしているのが拘りを感じられて喜ばしく思います。またウェザーチェックも「派手・ビッシリ系」で丁度良い塩梅だと思います。
どうせ持つなら分かりやすくて派手だけれどオールディーなものが欲しい、といったニーズにJohn Cruzはベストマッチだな、と入荷する度に思います。そういった部分のバランスを取るのが非常に上手なビルダーですよね。

また余談ですがJohn Cruz Custom Guitarも日本に入ってまいりました。
Fender時代からショーモデルなどで多用していた「ポップなカラーリングへのヘヴィーなエイジング加工」という組み合わせは健在ですね。またヘッド表側ロゴ部に付けられたパーツやレーシング・ストライプなど、各部にルックス面で良いアクセントとなるモチーフがあしらわれていて、見た目には非常に期待が持てますね。こういった少し変わった「ツボ」を押さえているあたりは流石John Cruz、と言わざるを得ないのでは、と思います。
値段はかなり高額ですが、単純にどんな楽器に仕上がっているのか非常に気になりますね。


Rock’n‘Roll Relics 2020 Thunders SC LP Jr Style (Black/Sunburst)

さて最後はFender以外のギターから。こちらは「Rock’n‘Roll Relics」というメーカー「Thunders」というレスポール・ジュニアタイプの楽器になります。
このメーカーはエイジングやフィニッシュなどで有名アーティストの使用楽器を模した楽器を製作していて、拘りのわかるモデルやクスッとくる様なモデルもあり、個人的には評価をしたいメーカーです。
また下地がサンバーストであることもあり前回取り上げるか迷ったのですが… よく見るとメタリックバーストだったので今回取り上げています。


楽器自体はGibson系のレスポール・ジュニアですが、レリックの雰囲気はコンポーネント系、挙げるならRS Guitarworksや Nash Guitars、また前回も取り上げたXoticなどのエッセンスも感じるので少し混乱します。


そんなド派手な色では無いはずなのに、結構存在感のあるルックスでイカしてますね。
Gibson系でマルチレイヤーはやはり少ないですしこの楽器も「なんだあのギター」という注目の的になり得る楽器だな、と思います。
余談ですがGibsonにはカスタムショップからGold/Cherry Sunburstのレイヤーフィニッシュのレスポール・スタンダードが出ていたので、入荷していれば絶対に取り上げたい楽器だったんですが……。今後お待ちしています。

前回に引き続いてマルチレイヤーを取り上げました。
元となったモデルの歴史やカラーの背景を踏まえた上で知れば知るほど、掘れば掘るほど興味深い、そんなスペックのものを取り上げられたので個人的には有意義でした。

以前からかなりの回数取り上げている通り、個人的にかなりギターの見た目のお話が好きなので、また別の種類のギターの塗装やルックスについても取り上げてみたいと思います。

それでは。

Fender Custom Shop 2020 1960 Stratocaster Relic (Black/Black Paisley)

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