2本の “1959” Jazzmaster について ~前編~
こんにちは。
今回はタイトルにもある通り、「2本の “1959” Jazzmaster」について個人的に気になった部分を取り上げていきたいと思います。
Fender 1959 Jazzmaster (Sunburst)
こちらが1本目。オクターブ調整ビスとスプリングおよびサドルのイモネジの一部のみが交換となっている、非常にオリジナル度の高い1959年製「Jazzmaster」です。
表面の塗装から金属パーツ、プラスチックパーツに至るまで少しの隙もなく”仕上がっている”最高のルックスです。
個人的にルックスに於いて注目したいのは、サンバースト・フィニッシュのブラックからダーク・ブラウン、そしてライト・ブラウンからほぼナチュラルになっていく塗装のグラデーションのバランスなのですが……。今回は「サンバーストについて」ではないので、それはまたの機会に。
Fender Custom Shop 2017 1959 Jazzmaster Journeyman Relic (Aged Sonic Blue / Matching Head)
こちらが2本目。こちらはカスタムショップ製のリイシューモデル、2017年製「1959 Jazzmaster Journeyman Relic」です。
1959年のリイシューはFender Custom Shopでも珍しく、こちらも中々凝ったルックスです。
当時のカスタム・カラーの「ソニック・ブルー」がエイジングされ部分的な色ヤケやウェザーチェックの入った様を再現した「エイジド・ソニック・ブルー」にベッコウ柄のピックガードが合わせられています。ジャズマスターのピックガードはFender系モデルの中でも特に面積が大きく、ビンテージの物だと”たわみ”も大きく出るのでレリックモデルではどう再現をするのか個人的には特に注目しています。
またフローティング・トレモロ・ユニットも面積の大きな金属パーツなのでレリック加工に観察し甲斐があります。こちらは近年製のレリックモデルに見られる目の粗いスクラッチ痕の目立つ加工ですね。
さて、それでは楽器の細部で個人的に気になった部分をそれぞれ比較していきたいと思います。
まずはバックコンターです。
オリジナルの方は非常に深く大きく抉られています。また6弦側ホーンおよびエルボーの裏側までの”長さ”もあるコンターとなっており、面取りの部分も角がなく丸みを帯びています。これだけ大きなコンターであれば、楽器を抱えた時に感じるサイズ感は実際よりも小ぶりに感じ、よりフィットするようにも感じられると思います。
一方リイシューの方はコンター自体に深さや大きさはそれほどありません。”長さ”の部分もオリジナルと比べると短く感じます。また面取りに於いても比較して角の残る仕上がりとなっていますね。
ではこのリイシューモデルは不完全なものなのでしょうか?実は答えはそうではありません。
この 1959 Jazzmaster Journeyman Relic には「Floor Traveler(Fenderで発行されるスペックシート)」が付属していて、そのシートの「Body Style」には「62 Jazzmaster」と記載がされています。
つまりは、この楽器は1962年スタイルのボディを用いて製作されており、1959年のオリジナルのものと比較をしても形状が異なるのは当然、と言えるということです。
実際、オリジナルの1962年製のジャズマスターには比較してコンターが浅く小さめで、面取りも角張っているものも見られます。
では一体、この「1959 Jazzmaster Reissue」の正体は何なのでしょうか。
と……。ここまでで結構な文量になってしまったので、より細部の比較、そしてこのリイシューモデルの正体の個人的見解については次回にまた取り上げていきたいと思います。
それでは。