Art Esparza ~サックス奏者となったマスタービルダー 前編
1994年から2004年の10年もの間、マスタービルダーとしてフェンダーで腕を振るっていたアート・エスパーザ。
名前と外見からヒスパニック系のアメリカ人と思われる(やや褐色で黒髪)彼は、もちろんあらゆるタイプのギターを製作していましたが、特にベースの製作を得意としていました。
元々はサックス奏者でもあり、管楽器リペアもこなしていたようで、管楽器のリペアをしている中でギター関連の本を読んだことがきっかけにギターに興味を持ったそうです。
1987年にはフェンダーに入社。
当初はレギュラーラインに配属され、本工場で様々な作業を担当します。
アート・エスパーザの高いスキルとセンスに気付いたカスタムショップの総責任者John Page(ジョン・ペイジ)にスカウトされ、入社からわずか1年後の1988年から第7番目のスタッフとしてカスタムショップへ移ります。
ちなみにこの頃はまだフェンダーカスタムショップ創世記と言われるまだまだ小規模な段階でした。
フェンダーカスタムショップ創世記について詳しくはこちらをどうぞ。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/john-page-2/
当時、Phil Kubicki(フィル・クビキ)がデザインしたクビキファクターベースがカスタムショップラインに加わる時期で、アートはその担当になりました。
サンタバーバラにあるフィル・クビキの工房に弟子入りして、制作技術を学びました。
半年間ほどの研修を経て製作工程の全てを学び、それをカスタムショップに持ち帰り、本格的な製作に取り掛かります。
この頃は同時に他の定番モデルの組み込みまでも任されたりすることもあり、多忙を極めました。
入社2~3年目にも関わらず、クビキファクターベースの責任者となったアートの元には7~8名ものスタッフがいました。
そのスタッフ達がファクターベースの製作のための仕事を覚えた後は、組み込みに専念することになります。
ここでのベース製作の経験があったこともあって、のちにベースの製作を任されることが多いようです。
そうして1年ほどして、アートは鳴物入りでマスタービルダーとしてカスタムショップに加わったJW.BlackのApperentice (弟子)になります。
そこでこれまで多くを経験してこなかった木工部分の技術を磨くことになります。
それからは数年間、シニア・ギター・ビルダーとしてJW Blackやマスタービルダー達のアシスタントとしてキャリアを積み、スキルをどんどんと上げていきました。
そして入社から7年目となる1994年にマスタービルダーへと昇格します。
~続く~