Dennis Galuszka 家具職人&ドラマー 3
Dennis Galuszka 家具職人&ドラマー 3
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/dennis-galuszka-2/
2006年、マスタービルダー自身が思い描く夢のスペックを形にしたマスターデザインシリーズの中で、デニスが製作したのはギターではなくベース。
60sスタイルをベースにしたメイプル指板のジャズベース。
フィニッシュはサテンのアイスブルーメタリック、ガードはシルバーのアノダイズドで、プリアンプも搭載していました。
こちらはなんとフェンダー史上初の0フレット仕様となっています。
Green DayのベーシストのMike Dirnt(マイク・ダーント)や他のベーシスト達の不満が、
“開放弦の音と押さえた時の音が違うの嫌だ”
ということで、それを解消するためにデニスが提案したのが、この0フレット。
NAMMショーでマイク・ダーント本人に見せたそうですが、いたく気に入ったようです。
このNAMMショーで完売したこのモデルですが、元々100本限定として始めましたが、カスタムショップがギターの製作に戻って欲しいという理由で、デニスが実際に製作出来たのは2~30本のみとなったそうです。
デニスが製作したモデルの中でも有名なものが、
“Andy Summers Tribute Telecaster”
アンディ・サマーズが愛用するカスタム・テレキャスターを復刻したもので、2007年に250本限定生産されたモデルです。
1970年代初頭にアンディが200ドル程度で購入したモディファイされたカスタム・テレキャスター。
それは独自のスペック&コントロールを持ったギターで下記のような特殊な仕様となっています。
-フロントピックアップにSeymour Duncan 59
-ブラスのブリッジプレート
-ダイレクトマウントのリアピックアップ
-ボディに直付けされたプリアンプのon/offのミニスイッチ
-コントロールプレートのフェイズスイッチ
-ボディに直付けされたゲインノブ
元々モッドだったギターだったこともあり、アンディ本人もそのギターが
“どうしてそうなったのか”
“どのような仕組みなのか”
は全く分かっていませんでした。
このギター製作のために、アンディ・サマーズ本人と二人でカリフォルニアのヴェニスのスタジオでかなり長い時間をかけて研究したそうです。
デニスはプロトタイプの製作のために数ヶ月の時を費やしました。
元々100本のみ生産で、その全てをデニスが製作する予定でしたが、市場での需要が高いと見込まれたため、250本に本数に拡充。
そのため複数のマスタービルダー達が製作することになりました。
デニスが製作したものをアンディ・サマーズがグラミー賞のライブで実際に使っていたそうで、それを見たデニスは感極まったそうです。
カスタムショップマネージャーだったマイク・エルドレッド氏は、
“ドラマーたる所以かもしれないが、他のビルダーと全くアプローチが違う。
Bass VIとJazzmasterのダブルネックの製作をした時はどうかしてると思ったよ。
アンディ・サマーズのテレキャスターの背面に穴を空けることで、通常のストラトのコントロールを活かしつつも、ブースト具合を調整できるようにアレンジするなど、プレイヤーの視点をよくとらえている彼ならではのアレンジが施されていたよ”
とデニスについて語っています。
余談ですが、デニスはなんとヘリコプターを所有しており、自身がパイロットとして操縦するそうです。
以前のフェンダーカスタムショップのホームページには、”Meet The builders”のビルダーの紹介部分でヘリコプターに乗って微笑むデニスの写真が使用されていました。
古参の一人となったデニスですが、今もなお挑戦的なモデルの製作を作り続けています。
~終わり~