Eric Clapton シグネイチャーモデル ~完成までの道のり その4~

第3回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/eric-clapton-3/

ネックが決まったことで、ようやくマイケル・スティーブンス(Michael Stenvens)、ジョン・ペイジ(John Page)、ジョージ・ブランダ(George Blanda)の3人はボディの作成と最終組み込みに取り掛かります。

ジョンはバッテリーを入れるためのザグリ加工、ジョージは回路のためのザグリ加工を施します。
(プリアンプのさらなる強化、レースセンサーピックアップへの変更など、プロトタイプからの変化がありました)

ネック#1の杢目のはっきりとしたカーリーメイプルのネックはピューター(Pewter)カラーのボディへ。
ネック#2のバーズアイメイプルのネックは7UPグリーンのボディへ。

配線完了して、トレモロはもちろんブロックし、最終セットアップのためにマイケルに委ねられ、ついに完成します。

が。。。

程なくして、クラプトンのギターテックのリー・ディクソンが、ネックのそれぞれのギターのネックを交換してもらうよう頼みに来ます。(理由はさだかではありません)

そして最終的には
ネック#1 / 7UP (このギターはのちにブラックボディに)
ネック#2 / Pewter
という組み合わせになり、クラプトンに愛用されることになりました。

-ちなみにPewterのギターは、クリスティーズオークションに出されて、ヴィンテージ以外では史上5番目となる$100,000(1千万円以上)の高値がつきました-

1987年のNAMMショーで発表されていたクラプトンモデルは、本人の意向による変更や契約書の遅れなど様々な原因もあって、1988年にようやく製品としての本発表にこぎつけました。
そうして長い長い試行錯誤が続いた第1弾のアーティストモデルは、とうとうフェンダーのプロダクションとして日の目を見ることになりました。

結果、当時としても非常に個性的なスペックが数々盛り込まれた画期的なモデルに。

-ゴールドレースセンサーピックアップ
-TBXトーンサーキット
-ミッドブースト
-ブロックドトレモロ
-22フレット (プロトタイプは21フレット)
-バイフレックストラスロッド
-9.5R指板
-ヘッドアジャストロッド

発売後、よく一般客から、
“クラプトンの所有機には特別なアッセンブリーが組み込まれているのか?”
というような質問をフェンダーではよく受けたようですが、本人のものもプロダクションと全く同様のものが搭載されていました。
そしてネックは個体によって違うものもあったようですが、どれもいわゆるVシェイプで統一されていたそうです。

このシグネチャーモデルのスペックは様々なアーティストに好かれていたようで、クラプトンモデルのスペックは、他のアーティストモデルにも多数使用されています。

Jerry Donahue Telecaster はネックシェイプ。
Buddy Guyはアッセンブリーとネックシェイプ。
Richie Samboraはネックシェイプとプリアンプ。
等々。

どうもクラプトン仕様は皆のツボを捉えていたようですね。

~次回最終回、クラプトンモデルのその後に続く~

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