FenderについているBigsbyのお話。
今回はFenderについているBigsbyのお話です。
Fenderの楽器はストラトキャスターやジャズマスターをはじめ
元々独自のトレモロユニットを搭載している楽器が多いと思います。
そんな中数少ないBigsbyのユニットが現在まで使用されているのが
TelecasterとEsquireです。
ほとんどの場合フラットトップ用の”B5″モデルが使用され、
その際はブリッジとマウントプレートの交換が必要になります。
またブリッジがかなり高くなるのでセット角も変更する必要があります。
取り付ける際はご注意を。
本題はここから。
B5以外のモデルもテレキャスターに搭載されることがあります。
それがこちら。
“B16″モデルです。
トレモロ部分とブリッジプレートが一体型となっており、
Telecaster以外に装着することが考えられていない形状です。
プレートにはブリッジ用の穴が広く空いているため好きなものを使用できます。
ちなみにオリジナルのブリッジはフルアコ用などに近いデザインです。
B5と違う部分をもう一つ挙げると、ボディトップの他にボディエンドにも固定穴があることです。
そのためトレモロ部分は”B3″を縮小したような形になっていて可愛いです。
“B16″を装着する際ですが”B5″同様ブリッジの高さが変わるためセット角の変更が必要になります。
ただし”B16″の場合はブリッジに加えピックアップの高さもカサ増しされるので、
弦との干渉を防ぐべくさらに角度をつけなくてはいけません。
よって純正の「B16 Telecaster Kit」には前述のブリッジや位置出し用の赤い糸に加え
専用のアルミ製極厚シムが付属します。
といってもただのアルミ板ではなく、ちゃんとスラントしてあります。
さて最後になりますが、創始者Paul Bigsbyさんはギターも作っていました。
1948年にカントリー/ウエスタン界を代表するアーティスト”Marle Travis”に製作、
しかもそれはソリッドギターの源流となる楽器なのです。
まるでFenderとGretschを足して2で割ったようなギターで、
Fenderのような6連ヘッドにDuo Jetのようなチェンバードボディとなっています。
Bigsbyさんはもともとバイクレーサー兼Crocker Motorcyclesの製品設計担当でした。
言われてみればBigsbyのトレモロはどこか車やバイクの部品のような雰囲気がありますし、
斬新な楽器デザインができたのも伝統的なギタービルダーではなかったからかもしれません。
Leo Fenderさんはもともとラジオ屋さんでギターを弾けなかったのは有名ですが、
エレキギターの歴史は楽器と異なる業界出身の技術者によって推し進められたような気もします。
Bigsbyの搭載された楽器に触れる機会がありましたら、
是非Paul Bigsbyさんの事も思い出しつつギターを楽しんでみてください。