George と Leoの終着点、G&Lについて ~前編/ストラトキャスター編~
こんにちは。
今回はタイトルの通りGeorge と Leoの終着点、G&Lについて取り上げていきたいと思います。
Fender社の創設者Leo Fenderが1965年 CBS社に会社を売却した後、1971年に新しく始めた会社が Music Man。もちろん周知のことですがレオのMusic Man時代のプロダクトは素晴らしく、その実験的かつ挑戦的ながら時代を捉えたプロダクトたちは、ギターやベースのみならずレオの最も得意としたアンプの分野でも強烈な輝きを放ちました。僕はMusic Manも非常に好きな楽器メーカーで語りたいことがたくさんあります。
しかしながらさらにその後、レオのキャリアの最終盤、旧友のGeorge FullertonとDale Hyattと共に立ち上げた「G&L」でのレオたちのプロダクトは、さらに時代への切り込みの鋭さを増し、ある種の”エグさ”すら感じさせるものとなっていきました。
僕がこのブログで取り上げている割合を見れば一目瞭然なのですが、僕はFenderというメーカーが非常に好きです。しかしながら僕の個人的な好みとしてはヴィンテージ・スペックの楽器ではなく、実験的、はたまた挑戦的な機能や造形の下デザインされた楽器こそが好きなのです(と言っても僕が1番頻繁に使っている楽器は American Vintage ’62 Jaguar なのであまり大きなことは言えないのですが…)。
スペックと搭載された機能のバランスを考えるとFenderの楽器が適度だとは思うのですが、Music Manでの制作を経たレオはG&Lで実験と挑戦の極致に辿り着いていると僕は思っています。
ボディシェイプなど大筋の設計はFenderのものを踏襲している(微細な改良点はあれど)のですが、レオが特に力を入れて開発したのはピックアップやトーン・コントロールなどの電装系やトレモロ・ユニットでした。
G&L 1991 S-500 Signature (Natural)
まずはストラトキャスタータイプの「S-500」モデルです。
やはりG&Lといえば「Magnetic Field Design(MFD) Pickup」を取り上げるべきなのではないでしょうか。Fenderのピックアップ同様ポールピース自体が帯磁しており、さらにピックアップの底部に磁石を配置することで出力を高めていますが、コイル自体の巻き数を少なくすることで出力バランスが図られています。しかしなんと言っても最大の特徴はそれぞれのポールピースの高さを調整可能なことです。Fenderのピックアップがずっと抱えていた各弦の音量バランスを整えることが出来るんです!これは非常に助かりますね。個人的には見た目が一風変わっていて好みです。
「PTB System Tone」も見逃せません。3つのノブはそれぞれマスター・ボリューム/トレブル・カット/ベース・カットとなっており、手元で細かに音作りを追い込むことが可能です。パッシブ回路なので電池も不要です。
さらには2Wayのミニトグル・スイッチが搭載されていて、アップポジションではセレクターと合わせて「フロント+リア」や「全ピックアップ」という様なセッティングもできる様になっています。
そしてレオ肝入りの新開発トレモロ・ユニット「Dual Fulcrum Vibrato」も搭載されています。基本的には2点支持タイプのシンクロ・トレモロなのですが、このユニットはフローティングでのセットアップを前提に設計されています。それまで多くのトレモロ・ユニットを開発してきただけあって、「滑らかな」アーミングに相当な拘りを持っていることが伺えます。他の2点支持タイプのものとも若干異なる、重厚感がありながらもスムーズな感覚がありました。
G&L USA 1992 Legacy (Candy Apple Red/Rosewood)
ちなみにG&Lがもう1つラインナップしているストラトキャスタータイプの「Legacy」には「MFD Pickup」と「ミニトグル・スイッチ」が搭載されておらず、ノブもハットノブを搭載することでよりトラディショナルなものに近いルックス/スペックとなっています。
僕は残念ながらG&Lの楽器は持っていないのですが、実は設計思想や姿勢、そこから開発される楽器も含めて、非常に好きなブランドなのです。
よって長くなってしまいそうなので数編に分けて力一杯取り上げて行くことにいたしました。次回は「ASAT」「Doheny」あたりを取り上げられたら、と思います…!
それでは。
G&L 1991 S-500 Signature (Natural)