Gibson Wide Travel Bridgeについて

こんにちは。スタッフの鹿毛です。
今回は、僕が愛してやまない「Gibson Wide Travel Bridge」について取り上げたいと思います。

このブログでも度々取り上げている通り、僕は「変則的なスペック」とか「不評により一瞬しか製造されなかった」とか「単純に形が変」とかそういうものに目がありません。
トラディショナルなスペックも、勿論洗練されていてそれはそれでとてもいいと思うのですが、どうしてもトラディショナル側でないものの「淘汰されるべくして淘汰された特徴」が好みでして、今回取り上げるWide Travel Bridgeもその1つだと考えています。


Gibson 1973 SG Standard (Cherry)

こちらのSGに搭載されているのが「Wide Travel Bridge」です。Tune-O-Maticタイプのものに比べて幅のある形状が一番の特徴ではないでしょうか。ちなみに登場した時のGibsonのカタログなどには「Wide Travel」という名称は記載されておらず、「Nickel plated with mounting studs, designed for light and extra light gauged strings」という説明がされているのみでしたが、後にちゃんと登場します。
また、幅広の形状から別名「Harmonica Bridge」とも言われています。正式名称が浸透していなさ過ぎる所為か、見たまんまのこの名称で検索した方がたくさん情報が出てくる始末。可哀想ですね…。
実際の機能としては、Tune-O-Maticよりもブリッジ駒の調整幅が広いのが特徴です。しかしながらスタッドが共通のパーツではないので、Tune-O-Maticからの交換の場合はスタッドごと交換しなければなりません。どうして共通パーツで作らなかったのでしょうか…。ポン付けできれば幅広の調整幅のおかげでTune-O-Maticから交換する人もきっと居たのに…。


Gibson 1972 SG Special (Cherry)

個人的にはやはりSG Standard/Specialに搭載されているイメージが強いです。SGの独特のバランス感が余計に狂うと言いますか、ただでさえラージヘッドで全体のバランスが不思議なのに、ボディに寄ってもやはり変、というのが僕にはたまりません。
ちなみに、このミニハム2発/Wide Travel Bridge/1プライガード/黒エスカッション仕様のSpecialが目の前に現れたら僕は間違いなく買ってしまいますね…。


Gibson 1973 Les Paul Recording (Natural)


Gibson 1974 L6-S Midnight Special (Wine Red)


Gibson 1976-77 Marauder Custom (Sunburst)

Wide Travel Bridgeは当時のGibsonの肝いりの企画でした。なので「Gibsonの新たなスタンダード」としての地位を確立したかったSGや、1971年に登場した”Les Paul Recording”、73年登場の”L6-S”、74年登場の”Marauder”など、トラディショナルな楽器ではなく新規に開発された楽器に搭載されることが多かったようです。
これらの楽器はことごとく僕の好みのスペックなので、平たく言うなら「Wide Travel Bridge搭載の楽器」が入荷するのがとても楽しみです。
また、個人的に嬉しいポイントとして、70年代にヨーロッパやアジア圏などで製作されたSGのコピーモデルなどにもWide Travel Bridgeによく似たブリッジが搭載されていて、なぜかGibsonのオリジナルの楽器なのにそういったコピーモデルと一見して区別が付きにくくなってしまっているのが可愛らしくて最高です。

ちなみに、当店に入荷したことがないので、残念ながら写真は用意できなかったのですがSG Customなどに搭載する形でゴールドのWide Travel Bridgeも存在していたようです。つまりはPRSさながらのハイブリッドパーツを製作できるということです。これは夢が膨らみますね。

それでは。


Gibson 1972 SG Special (Cherry)

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