Introducing Fender Masterbuilders ~歴代のマスタービルダー~
現在Fender Custom Shopにおける最高機種を作り続けている”Masterbuilt”シリーズ。一人一人のビルダーについて少しだけ深掘りしてみます。
~Michael Stevens~
カスタムショップの初代マスタービルダー(1986~1990年在籍)。
2017年にカスタムショップの30周年を記念したプロジェクトである”THE 2017 FOUNDERS DESIGN PROJECT”にも参加していることで記憶に新しいルシアーかもしれません。
とはいえ、彼がフェンダーに在籍したころに製作されたFender Custom Shopのギターは比較的数が少なく市場でもあまり出回っていません。
テキサス出身。まさに一般的に思い浮かべる”カウボーイ”といった風貌で、馬への愛情が止まらない方のようです。
現在の彼の姿は下記URLに。
https://www.stevensguitars.com/
1967年に”Guitar Resurrection”というショップをサンフランシスコで開業。
1974年にアラビアンホースの飼育や調教をするために一度ギター作りから離れる。
1978年に、またギター作りに戻ることにして、テキサス州オースティンに”Stevens Guitar”をオープンします。
このショップをオープンしてからの最初のビッグネームはグラミー主要4部門同時受賞したChristopher Cross。
彼の使う有名なダブルネックのストラトはマイケルによって製作されました。
その他にも顧客にはStevie Ray and Jimmie Vaughan, Otis Rush, Albert King, Eric Johnson, Lonnie Mack, Hubert Sumlin, Junior Brownなど、数々のギタリスト。
どんなカスタムでも受け入れるオリジナリティ溢れるデザインのギターで当時から注目集めていたそうです。
1986年にフェンダーのマーケティング部門の責任者であるダン・スミスから、フェンダーのカスタムモデル/トレードショー用のギターの製作依頼を受ける。
それをきっかけに、カリフォルニアに移住し、フェンダーのマスタービルダー /シニアデザインエンジニアとしてJohn Pageと共にカスタムショップの立ち上げメンバーとなる。
カスタムショップでの最初の1本はJimmy Wallaceによるオーダーでした。オーダーといっても、ビルダーに全てお任せで”something cool and unique”なものを作ってくれという要求だったそうです。
(何か試されている感じがしますね。)
マイケルが得意とすることもあって、ここでダブルネックが製作されることに。
Mary Kayeスタイルのストラトとエスクワイアーを組み合わせたもので、このギターはカスタムショップにおける記念すべき#0001のギターとなりました。(マイケル氏のお気に入りがMary Kaye&Esquireモデルだったよう)
そこからは数々のワンオフモデルやEric Clapton、Yngwie Malmsteen、Danny Gatton、Robert Cray、Waylon Jennings等々、数々のアーティストモデルの設計&製作をこなしていきます。
エリック・クラプトンモデルを製作する際には、あの”Blackie”を参考に預かって製作したスティーブンのネックをクラプトン本人に直接確認してもらったそうです。
それらと並行して、マイケルは自身のプロジェクトを進めていき、デザインから全て設計されたFender初のカーブトップ&セットネックモデル”LJ”が製作します。
これによりフェンダーの歴史の中でヘッドに自身のサインを入れた最初のビルダーとなりました。
そして1990年にフェンダーを退社。
テキサス州アルパインで自身の工房を再度開くことになります。
その工房は現在もオープンしており、”Stevens Guitars”という自身のブランドでギターを製作しています。
いかにもテキサスといった砂漠のような荒野が広がる場所にある工房で、カスタムオーダーされたギターを製作する日々を送っているそうです。
また馬の飼育や調教なども同時に行っており、”Lone Star Cowboy Poetry Gathering”というカウボーイたちの集まりの運営協会の代表もつとめていたようです(なんと10年間)
Fender在籍時にデザインした”LJ”というギター(どちらかと言えばレスポールに近いスタイル)もまだ生産しているようですね。
下の写真は当時のカスタムショップのセットネックテレキャスター。