Kramer VHBのお話。
今回はKramer VHBのお話です。
![](https://www.niconico-guitars.com/html/blog/wp-content/uploads/2023/10/IMG_5321-1-1024x1024.jpg)
まず、「VHB」がなんの略称かと申しますと「Voyager Headless Bass」だそうです。
このモデルがKramerのカタログに登場するのは1982年。
Kramerは元々アルミネックの楽器製作から始まったブランドで、
1980年代に入るまで木のネックの楽器は製造されていませんでした。
これはGary Kramerがこれまたアルミネックで有名な”Travis Bean”の
立ち上げメンバーだったことも影響しています。
しかし前述の通り木製ネックの楽器を生産できる体制が整うと、
アルミネックの楽器はカタログから姿を消しました。
VHBも例外ではなく、83年には同型のボディの楽器は生産されるも、
ネックは木製で他モデルと共通のものに差し代わっています。
ちなみに”ヘッドレス”という視点で言うと、Steinbergerが設立され、
“L2 Bass”が販売されたのが1980年なので、
ヘッドレスの楽器としてもかなり初期に誕生しています。
さて話を楽器に戻すと、VHBは
・ヘッドレス
・アルミネック
・ミディアムスケール
というかなり尖ったスペックの楽器ですので、
構造的に面白い箇所がたくさんございます。
まずはペグ部分。
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通常のペグがボディエンドに取り付けられています。
![](https://www.niconico-guitars.com/html/blog/wp-content/uploads/2023/10/IMG_5323-1024x1024.jpg)
そのままのボディ厚ではストリングポストが表に出ず、
ペグも回せないためボディエンドは薄く削り取られています。
現行の楽器だとWarwickのNobby Meidelモデルにもこの構造が採用されています。
続いてネック。
![](https://www.niconico-guitars.com/html/blog/wp-content/uploads/2023/10/IMG_5325-1024x1024.jpg)
この個体のネックは塗装されているため分かりづらいのですが、
T字型の骨格に木製の握りがついているような構造です。
おそらく「木の握り心地と金属の剛性」のいいとこ取りを目指したのだと思います。
また指板は樹脂製で、0フレットが採用されている点もSteinbergerと似た雰囲気を感じます。
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横からネックジョイントを見ると、アルミの部分と木製の部分がそれぞれ確認できます。
最後に電装系。
![](https://www.niconico-guitars.com/html/blog/wp-content/uploads/2023/10/IMG_5324-1024x1024.jpg)
PUはオリジナルのJBXモデルが2機並べた状態でハムバッカーのように搭載されていて、
ミニスイッチで直列/並列/タップが選択できます。
コントロールノブはボリュームとトーンです。
他の誰とも被らないロマンある楽器が欲しいという方、是非検討してみてくださいね。