Larry Dimarzio ~リプレイスメント・ピックアップを生み出した男~ 3
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/larry-dimarzio-2/
BOSSのディストーションユニットを内蔵したモディファイのストラトキャスターを自力で製作したラリー。
そのギターが完成した週に、定期的にレッスンを受けていたJack Wilkins (凄腕ジャズギターリスト)に元へそのギターを持ってレッスンを受けに行きました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Jack_Wilkins
レッスンの終わりに
“この後何してる?”と尋ねられ、
“特に何の予定もないよ”と答えると、
ジャックはラリーを連れてDan Armstrong(ダン・アームストロング)のギターショップを訪れました。
そこでジャックはその日のロックミュージカルの演奏で使うためのソリッドギターの購入することを考えていました。(所有しているL-7ではロックミュージカルにはサウンド的に足らなかったためだそう)
当時のダン・アームストロングはニューヨークでも一番の”クール”なショップとして知られていました。
キース・リチャーズが使用したことで有名になったアクリルのクリアボディのギター”Lucite Guitar”もすでに制作された後で、訪れた時にもショップに数本売りに出されていました。
ちなみに家具でも何でもクリアなプラスチックデザインで作るのが、当時のマンハッタンの流行りだったそう。
ラリーはアクリルギターのルックスは好きだったが、サウンド的には好みではなく、重いことも嫌だったそうです。
結局ジャックは50sのTVカラーのレスポール・スペシャルを店からレンタルして、そのままロックミュージカルの演奏のためにイースト・ヴィレッジにあるオルフェルム劇場へ。
ラリーが弦を張り替えて、ジャックはそのままオーケストラピットへ。
バンドはステージで完全に覆われており、床は土で、歩き回るにはかがむ必要があり、音楽監督の頭だけが舞台上を見るためにステージ上に突き出ている状態でした。
音楽監督の計らいで、観客席から見えないように音楽監督の隣に座り、最高の環境でミュージカルを見たそうです。
終演後、出演ミュージシャンたちとチャイナタウンでディナー。
ディナーの後、ジャックはまたラリーに
“この後何してる?”と尋ねられ、”特に何の予定もないよ”とラリー。
今度は電車に乗ってリハーサルスタジオへ。
そこはスタジオミュージシャン、ブロードウェイプレイヤー、TVバンドプレイヤー等、プロミューシャンのみで行われるジャムセッションが催されていました。
セッションのホストは、グラミーアーティストのBrecker Brothers(ブレッカー・ブラザーズ)。
そのセッションはまるで音楽の“Fight Club”のようで、ラリーにとっても相当な刺激だったそうです。
ジャックはそこでラリーの改造したディストーション付きストラトも試したそうですが、あまり彼のスタイルには合わなかったよう。
セッションは深夜3時頃に終わりを告げ、ラリーは電車に乗って帰宅。
その帰り道にその日観たミュージカルやセッションで聴いたサウンドに深く感銘を受け、ニューヨークのプロフェッショナルミュージシャンのコミュニティの一人になりたいと深く思うようになりました。
1~2週間後、ジャックから電話が鳴ります。
“Charlie LoBue (チャーリー・ロビュー)が彼のリペアショップで働く人を探している”との連絡でした。
~続く~