Larry Dimarzio ~リプレイスメント・ピックアップを生み出した男~ 5

前回はこちら。

同じ区域の48番街のお店からもたくさんのご紹介もあり、大いに繁盛していたラリーの働く”The Guitar Lab”。

その中でも有名だったのが、創業1935年の老舗でセレブ御用達のManny’s(マニーズ)。

当時の経営者は二代目となるHenry Goldrich (初代Manny Goldrichの息子)で、店の壁には額に飾られたサイン付きの写真が敷き詰められており、連日のように著名なアーティストが訪れました。

なんとマニーズでは、もしギターの試奏をしたければ、キャッシュを持っていることを見せなければならないという厳しいルールがありました。

もちろん例外はあり、Jimi Hendrix (ジミ・ヘンドリックス)などの有名プレーヤーは、閉店後に好きなだけ試すことが出来たそうで、有名なブラック・ビューティーやウッドストックで使用したストラトキャスターもここで購入されたものでした。

ジミ・ヘンドリックスだけでなく、ビートルズ、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、エリック・クラプトン等々、ほぼ全ての著名なミュージシャンが訪れていたと言っても過言ではない伝説的なショップでした。

ちなみに74年間の歴史に終止符を打ち、2009年にはManny’s Musicは惜しまれつつも閉店となっています。

マニーズもあったことで音楽業界のメッカだった48番街だったこともあり、”The Guitar Lab”はフィルモアや地元のクラブで演奏していたプレーヤーたちで賑わいました。

“The Guitar Lab”は広告を掲載したことはなく、すべてプレイヤー達からの口コミによる紹介だけで成り立っていたそうです。

ラリー自身もジーン・シモンズとポール・スタンレーをギターラボに連れて行き、オーナーのチャーリーに紹介しました。

“The Guitar Lab”に勤め始めた頃のラリーの日課的なものが部品探し。

自宅までの帰り道に電車を途中下車し、電子機器、余剰品、スピーカー、工具、プラスチック、金物などを取り扱うあらゆるお店を巡回していたそうです。

当時見つけたラリーのお気に入りは、軍用のミニスイッチ。

このスイッチはなんと後にB.C.Richのギターのスイッチの標準パーツとなり、現在でもDiMarzio Dual Soundピックアップに付属しています。(このパーツはDiMarzioで制作)

“The Guitar Lab”では、木部の大掛かりな修理(ヘッドリペアやネックのリセットなど)は、基本的にMichael Gurian(マイケル・ガリアン)の工房に任せていました。

マイケル・ガリアンは、アコースティックギター界における、”ブティックギター”メーカーの先駆けとも言える存在で、彼の製作したギターはBob Dylan(ボブ・ディラン)、Paul Simon(ポール・サイモン)、Jackson Browne(ジャクソン・ブラウン)を含めた多くのミュージシャンに愛用されていました。

ラリーは“マイケルは、私がこれまで会った誰よりも木材について詳しく知っていた”と評しています。

~続く~

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