Mike Eldred マイク・エルドレッド ~フェンダーカスタムショップの改革とジョン・ペイジからの移行~ 7

前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/mike-eldred6/

さて、”効率化”と”生産の安定性”のための改革をカスタムショップが必要としていた頃にフェンダーに入社したマイク。

マイクがまず最初に取り掛かったのは、ネック部門の生産体制の組み直し。

新人であるにも関わらず、ジョン・ペイジと話し合い、ネック製作のためのプロセスの効率の悪い部分を洗い出し、彼の指示の元になんとフロアの壁を取っ払うまでに至ったそうです。

マイクは子供が産まれたばかりだったこともあり、給与も良くなることから早い段階でスーパーバイザーになることを望んでいました。

新人ながらにスーパーバイザーになるということは、人事的なことの執行やスタッフ達から嫌われるであろう決断なども多く下していくことになる可能性がありましたが、

“もちろん本当はそんなことやりたくはないが、家族のためなら俺は何でもやる”

という確固たる覚悟がマイクにはあったそうです。

ジョン・ペイジは、大きな改革を必要としていたフェンダーにとって、そういった覚悟を持ったマイクがマネージャーに適任であり、ジョンの地位を引き継ぐべきだと考えたそうです。

そうしてフェンダー社はマイクはかなり早い段階で、スーパーバイザー的な位置付けにすることを決めました。
(これはあくまで実際にやっていた業務内容がスーパーバイザー”的”なもの、正式に社から発表されるのは2年ほども後になりました)

マイクが入ってきた1990年代後半、ジョン・ペイジはマーケティング、事務処理、人事などの管理職的な仕事に追われ、カスタムショップでの日常的なギター製作に関してあまり関与しなくなっていました。

それまでも日々の生産は安定したものではありませんでしたが、さらにひどい状況になりつつあったそうです。

そんな頃、ジョンに代わりマイクは製造部門の長として工程管理、スケジュール調整、オーダー・スペックの検討、人材管理など多岐に渡る業務をジョンのマネージャーとして代わりにこなしていくことになっていきます。

最終組み込み及び調整担当のMaria Orduño(マリア・オルドゥーニョ)、出荷担当のScott Grant(スコット・グラント)らと共に、月末の納期に間に合わせるように、協力して日々の制作を組織していました。

マイクは”効率的”と”利益化”を重視し、非常に理にかなった行動をする人物のようで、”感覚派”とも言えるジョンとそのスタッフたちとの対立もあったようです。

ある時にはジョンから
“Come see me first thing tomorrow morning, so I can kick your ass.”
(朝一でおれのとこに来い、ぶっとばしてやる)

というかなりご立腹な伝言をもらったことがあるとのこと。(伝言の理由は定かではありませんが、生産体制や生産数に関することだったようです)

その後、ジョンのアシスタントという名目で、実際のあらゆるプロダクションの管理者的立ち位置になっていたマイクは、カスタムショップの様々な問題を洗い出し、解決しています。

~続く~

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