Mike Eldred マイク・エルドレッド ~フェンダーカスタムショップの改革とジョン・ペイジからの移行~ 8

前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/mike-eldred-7/

さて、ジョンの代わりにスーパーバイザー的な立ち位置になっていたマイク。

当時のカスタムショップには本当にたくさんの問題や改善点がありました。

まずはカスタムショップと経営部の連携の問題。

フェンダーは大きな会社であることから、経営陣との連携を図るのは難しいものと想像してしまいますが、実際に連携を取らなければならなかったのは、おもにたった二人の人物だけだったそうです。

President(現場のトップ)の(BIll Schultz(ビル・シュルツ)とVise President (補佐)のKurt Hemrich (カート・ヘムリック)。

二人は経営面や今後の方針を決定していくために、カスタムショップで実際に
“現在何が行なわれているか”
“これから何をするか”
といったことを正確に知る必要がありましたが、ビルとカートはビルダーではないこともあり、カスタムショップで何が行われているのかをハッキリと知らなかったそうです。

カスタムショップ設立の本来の意義の一つでもあった
“本工場を助ける”
という意味合いにおいても、連携を密にする必要がありましたが、カスタムショップのスタッフには、
“that’s them, and we’re us” (彼らは彼ら、我々は我々)
というショップとフェンダー本工場や経営陣と距離を置きたがるスタッフがいました。

まず、マイクはそういった壁を取っ払ってしまう必要があると感じ、積極的にビルとカートとのコミュニケーションを取りました。

新工場への移転によりオフィスや制作スペースが一つになったことで、この連携も非常に良くなりました。

人事に関しては、そういったマイクの姿勢に賛同できないものに対して、
“My Way Or The Highway”(私に従えないなら出ていけ)
というかなりシビアなスタンスで取り組んだようです。

また、等しく分担されていなかった労働量も問題でした。

仕事は均等な分配をされておらず、J.W.Blackが必死に働いている横で、うまいことサボってるやつが隣にいるというような状況。

現場でのスタッフの生産性の厳密なチェックは行われておらず、実際の労働量をごまかせるような状態でした。

これに対してもマイクは、仕事量を均等に分配して、誰が何をやっているのかをしっかりと管理するシステムを作ります。

そして、予算、パーツ類の在庫管理、倉庫管理。

あらゆる事柄の予算についてチェックと再考。

マイクは、使用されることはないであろうパーツや木材の仕分けも行いました。

例えば、スネークヘッド・アニバーサリー・テレキャスターのプロジェクトで一度だけ使用して、今後もほぼ使われることでないであろう大量のペグの余り。

カスタムショップクオリティーにおいて決して使われることのないクラックやシミの入った大量の木材。

これらは、”どうすればよいのか分からない”という理由だけで無駄に保管され、場所もとっていました。

マイク達は、こういった余剰分のパーツや木材の仕分けを数週間をかけて、ほこりや汚れにまみれ、倉庫内ですべての作業を行いました。

~続く~

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