Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その11
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-ポール・リード・スミスについて-その10/
さて、サンタナのための1本を製作する約束を取り付けたポールでしたが、まずはコンサートでの悪い印象を解消するために一策講じることにしました。
“Golden Eagle”の所有者であるHoward Lease(ハワード・リース)に1本の電話を入れます。
実はGolden Eagleの後にメイプルトップのギターを1本追加注文をしていたハワード。
それは”Golden Eagle 2″と名付けられた1本で、その名の通りカラーやボディシェイプは#1と同様でしたが、ワンハムバッカー&ワンノブ仕様となっており、ストラップピンが突き出さないように埋め込まれたようにしたものでした。(この1本も
ポールはこの”#2″をサンタナに送って欲しいとハワードに頼みました。
そうして”Zebop!”というアルバムのレコーディングに取り掛かろうとしていたサンタナの元に届けられたギター。
実は手違いで、ナンバーを誰にも伝えていない鍵の掛かった状態で送られてきました。
誠か嘘か、サンタナのローディーのジョンは
“鍵を開けるためのナンバーが降りてきた”
と奇跡的に1発で開けたそうで、このギターに運命的なものを感じたとのことです。
このギターを大層気に入ったサンタナは、即座にレコーディングに使用し始めました。
ちなみにジョン達はこのギターのサウンドの良さの秘密は
“ボリュームのコンデンサーにあるのではないか?”
などと思っていたようですが、ポールは即座に否定したそうです。
そうして、”Golden Eagle 2″はサンタナに何度か貸し出しされることになりました。
真実かどうかは分かりませんが、サンタナは自分の1本が製作されるまで、このギターをハワードに返却するのを拒んだという話も残っています。
いよいよ、サンタナのための1本の制作に取り掛かかることになったポール。
サンタナからの要望は、”チューニングの狂わないトレモロユニットの搭載”でした。
その注文に対して電話越しにさらっとOKを出したポールでしたが、電話を切ったあとに
“How on earth am I going to do that?” (どうやってそんなのするんだ?)
と自分自身に問いかけたそうです。
~続く~