Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その4
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-ポール・リード・スミスについて-その3/
メリーランド州アナポリスの小さな部屋でギターショップを営むポール。
その頃、ポールは自分のギターを売り込むことを目的に、ワシントンD.Cやメリーランド州のバルティモアをツアーなどで訪れるアーティストとそのローディー達へのアプローチを積極的に行っていました。
その活動が功を奏し、なんとアルバム”Frampton Come Alive”が大ヒット中だったPeter Flampton(ピーター・フランプトン)からの製作依頼が入りました。
制作に当たり、ポールはピーター・フランプトンから彼の所有する全てのギターを試奏する許可をもらいます。
試奏したことで、ピーターがどんなギターが好むのか理解したポールは、早速製作に取りかかりました。
この時ポールは20歳で、ピーターのために製作されるギターは、ポールにとってなんとまだ10本目。
3ヶ月かけて作られたこのギターは、現在のPRSギターの原型とも言えるエッセンスがふんだんに盛り込まれた記念すべき1本となります。
これまでのようなダブルカッタウェイシェイプでしたが、今回はトップにアーチ加工が施されます。
そしてPRSギターを代表するモチーフであるバードインレイがヘッドとポジションマークに使用されることに。
ポジションマークのバードインレイは、バードウォッチングを趣味としていたポールの母が所有していた本に描かれていたイラストからシルエットを起こして製作されました。
ヘッドのイーグルインレイは、ポールが地元で購入したTシャツのデザインから起こされたもので、サイズは現在のものよりかなり大きいサイズで、ピアノ鍵を素材に作られました。
そのギターには“Hand-made for Peter Frampton by Paul Reed Smith”というメッセージがヘッド裏に書かれており、ネックヒールにも小さなバードインレイが入れられていました。
ちなみにフランプトンのための1本のヘッドイーグルは、手書きで描かれたものでしたが、のちのヘッドイーグルはTシャツをスキャンしたものが使われています。
ビルダーの名前をヘッドに入れるのが定番にも関わらず、そうしなかったのは”Smith”(鍛冶屋)という名前はギターに合わないと感じたためだったそうです。
PRS初のカタログの表紙には、このピーター・フランプトンのために作られたギターの写真が使用されています。
~続く~