Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その34 (生産プロセス1~材の乾燥~)

前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-33/

工場内の”ラフカット”と呼ばれる場所に世界中から集められた全ての木材が集約されます。(丸太ではなく大きく切られた状態)

木材の選定(グレーディング)を終えた材は、もちろんそのまま切って使えるというものではなく、適正な処置を行い、木材の持っているポテンシャルを出来る限り引き出していきます。

まずは乾燥工程。

PRSでは乾燥工程は、製造工程における安定性、鳴り、音質、チューニングの安定性等の全てに関わる土台となる重要な部分として非常に重きを置いています。

最初にブックマッチさせた材を空気乾燥するところから始めます。

まずは木材同士の間に空気を通らせて水分を蒸発させるために”スティッカー”と呼ばれる木を挟み、パレットに置かれた状態でゆっくりと自然乾燥させます。

ちなみにカーリーメイプルは非常に繊細でこの乾燥プロセスをおろそかにすると簡単に損傷していまうそうです。

水分含有量が妥当なレベルまで下がったら、次にその木材を乾燥室に入れます。

乾燥室内では、熱風が室内に循環しており、ゆっくりと木材から水分を取り除いています。

乾燥室に置かれる時間は、24時間~2週間と木材によりかなり異なっています。

プライベートストックに使われるような密度の濃い特殊なエギゾチックウッドなどは、2ヶ月もの長い間乾燥室に入れられることもあるそうです。

またこの乾燥室は同時に工場内全体の湿度も下げる効果もあるそうです。

そうして寝かせられた材は乾燥室から出される前に水分測定器で水分含有率を測り、規定の数値である5~7%(マホガニーの場合)のレンジに入っているかをチェックします。(ローズウッドやエボニーはさらに低い2%程度)

そうして乾燥室から出された材は、通常の室内環境のフロアで木材を”なじませる”ためにさらに2週間ほど寝かせます。(マホガニー&メイプルに共通)

この”なじませる”時間は非常に重要で、木材が最低限必要な水分を再度吸収することで、その後の生産工程において木材が反ることやねじれることを防止します。

乾燥工程はここで完了し、ここからは指板、ネック、インレイなど、さまざまなパーツの製作プロセスに移ります。

~ 続く~

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