Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その35 (生産プロセス2 ~指板&インレイ~)
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-34/
生産プロセス ~指板&インレイ~
まずは指板。
マホガニーやメイプル同様に時間をかけて適切に乾燥されたローズウッドやエボニー材は研磨を経て、指板用の厚みに成形され、インレイを埋め込むプロセスへと進みます。
ちなみにこの時点ではまだ厚みにわずかなバラツキのある長方体の形となっており、ここから薄く削られていく工程もあることから、より厚みのあるものから選んでいくそうです。
ひび割れや杢目の悪い部分が無いかをしっかりとチェックされた指板材は、まず最初に端の方にロケーションホールが空けられます。
このロケーションホールは、コンピューター数値制御で成形や穴あけなど様々な加工を施す”CNCマシーン”(Computer Numerical Control)を使うための基礎となる穴、また指板とネックを接着する時の目印となる穴ともなっています。
ロケーションホールが空けられた後に、バードインレイを埋め込むための溝の掘削をCNCマシンで行います。
木琴のように並べられた指板を一つのCNCマシンで一気に12本分の指板の掘削します。(2022年時点)
溝を掘削すると同時に空気を送りこんで、溝の中の木片やほこりを取り除いていきます。
そうして溝が出来た指板は、次にインレイチームに引き渡されます。
インレイはその種類により製作工程が異なっています。
人工物でないマザーオブパール(Mother-of-Pearl)やアバロンの多くは、板状にされたラミネート貝が使用されています。
CNCルーターで切り抜く際に損傷することやバラバラになることを防ぐために、ラミネート貝板にベニア板を水性接着剤を使用して圧着させます。
CNCルーターでインレイの形に型抜きされた後は、熱湯に浸けて水性接着剤を溶かすことでベニア板から引き剥がし、インレイのみを摘出します。
人工的に作られているアイボロイド(人口象牙)やパーロイド(パールに良く似た見た目の人口材)などのプラスチック系のインレイは、板状になっている材料から、レーザーマシーン(CNCではなく)でバードインレイの形にくり抜いて作られます。(縁日の型抜きのような感じですね)
そうして作られたバードインレイ、ヘッドサインインレイなどは、指板やヘッドの突板に接着される工程に入ります。
~続く~