Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その40 (生産プロセス7~指板&フレット打ち込み)
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-39/
いよいよネックはここから最終調整のための手作業に移ります。
まずは指板面を均一にしてラディアスを整える作業。
ここからはネック1本1本をアルミ製の治具に載せて、ナットからヒールまで完全に一致した曲面(ラディアス)にする作業が行われます。
CNCルーターによる作業でかなり正確に出来ているように見えますが、ここで職人の手による細かな擦り合わせが必要となっているようです。
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続いて、フレットの打ち込みに入ります。
指板製作時にCNCルーターで作られた溝に少量の接着剤を注入し、ハンドプレスを使ってフレットを1本ずつ埋め込んでいきます。
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適切な深さの溝に均一な圧力でフレットが埋め込まれていくため、フレットの高さにばらつきは出ずに、最終のフレットの擦り合わせの段階でフレットを極力削ることなく出来上げることが可能になっているそうです。
埋め込まれたフレット両端はニッパーのようなものでカットされます。
その後は、ネックとヘッドの全ての表面とエッジはまんべんなく、職人の手によりヤスリがかけられます。
大きなベルトコンベアーのようなサンダーからいわゆる紙やすりなど多種多様なヤスリを使用して仕上げていきます。
こうしたヤスリがかけられた後は、ヘッドの厚み、1フレットから12フレットまでのネックの厚み、ネックヒールの幅、ナット部分の幅など全ての部分をしっかりと計測して間違いがないようにチェックします。
PRSではどのプロセスに機械を使い、どのプロセスを職人に任せるかを慎重に検証してきました。
ここまで解説してきた通り、大まかな成形や繰り返される作業においては効率をあげるために機械(CNC)が度々使用されていますが、最終的な部分は職人たちの手に委ねています。
非効率的ではありますが、実際のプレイヤーたちがどのようなネックを求めているか、どんな握りごごちで無ければいけないかを考え、理解した職人たちによる手作業による研磨などが必要だとPRSでは考えられています。
こうして完成したネックは、ボルトオンタイプネックは塗装の工程へ、セットネックタイプはボディ&ネックのアッセンブリーの工程へ送られます。
~続く~