Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その47 (生産プロセス14 )
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-46/
ボディとネックの接合を終えた後は、染色へ。
最初にトップ側の染色。(主にメイプルトップの場合)
まずは染めないエリアとなるネックやサイド等にマスキングテープをガチガチに貼っていきます。
当然ながらかなりタイトに貼られています。
そして普通の”水”をトップ全面に塗っていきます。
こうすることで木材が”開き”、染料が染み込みやすくなるそうです。
次にナチュラルバインディングになる部分に”Isolator”(アイソレーター)という透明な液体を塗布して、トップからの染料がバインディングに染み出さないように処理します。(ここはマスキングでは染み込んでしまうため)
ここからはカラーごとに処理が変わってきますが、例として。
~Fire Red Burstの場合~
合計3層の塗料を塗っていきます。
最初の下地に黒の”Charcoal”(チャコール)を一気に塗っていきます。
ものの数十秒(!)で塗布が完了。
木の白い部分が墨汁のような色合いに一気に染められていくのが爽快です。
かなりのスピードで塗っていきますが、ここまでのスピードまでになるには最低でもおおよそ6ヶ月ほどのトレーニングが必要になるそうです。
塗布が完了した後に乾燥させるために15分程度置いた後は、塗料のサンディングを行います。
完全に真っ黒になっていた塗装を均等かつ適度に落としていきます。
落とすことで、杢目のコントラストもハッキリと浮き出てきます。
続いて、Orange Tiger(オレンジ・タイガー)
ここでも圧巻のスピードであっという間に塗られていき、見る見るとオレンジカラーに染まっていきます。
写真だけだと分かりにくいですが、本当に一筆ごとにがらりと色が変わっていくので、かなり小気味良い感じです。
最後にFire Red(ファイアーレッド)。
ちなみに最初に塗ったチャコールはアルコールベースの塗料、オレンジ・タイガーはウォーターベースの塗料、ファイアーレッドはオイルベースとなっています。これは塗装同士の混ざり具合を調整するためと思われます。
PRS発足当時は、3色のみだったカラーは現在何百というカラーバリエーションとなっており、日々塗装のスタッフたちによる研究開発により新色が生み出されています。
今回は一例としてFire Red Burstのカラーリングを紹介しました。
もちろんカラーごとに塗料の重ね方や塗り方などのプロセスは変わりますが、あまりにも沢山のバリエーションがあるので、ここは一例のみで他は割愛させていただきます。
~続く~