Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その48 (生産プロセス15)
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-47/
トップの染色が完了した後は、ボディバックやネックの”Grain Filling”(グレイン・フィリング)。
日本語では”目止め”と呼ばれるもので、木の導管を埋めかつ着色を同時に行う液体パテを塗っていきます。
ギブソンのレスポールなどでもよく見られる赤茶系のあの色合いの下地となっているものこの液体です。
茶色のドロっとした液体をたっぷりと刷り込むように塗り付けた後に、布で拭き取ります。
凹凸がなくなりよりフラット表面になることや木目をよりハッキリさせるのも効果の一つとなっています。
次に透明なベースコートフィニッシュを吹きつけるためにスプレールームへと送られます。
ポールはフィニッシュにも対してかなりのこだわりがあり、フィニッシュにより最終的な音質が決定すると考えています。
いかに”薄く”&”硬い”フィニッシュを施すかを日々研究しているそうです。
近年(2~3年前)、このベースコートの厚みはなんと約0.004mm(髪の毛のやく半分程度)となっています。
塗料を均等かつ正確に薄く塗る作業となるので、基本的には機械により行われています。
塗った後は、乾燥のために2~3日待ちます。
乾いた後は、表面を平らにするためにサンディング(研磨)へ。
非常に細かな紙やすりにより表面の凹凸が滑らかにされます。(余談ですが、この凹凸のある状態を”Orange Peel”=オレンジの皮とPRSスタッフは言っています)
研磨が完了した後は、仕上げのカラーによりその後の作業が変わります。
ボディバックが黒などのカラーの場合&トップがバーストカラーの場合は、ここからカラーコーティングへと向かいます。(カラーの無い場合はトップコートへ)
バースト系カラーの場合は、ベテランスタッフによる手作業でグラデーションがスプレーされていきます。
この作業には個性が出やすいようで、PRS内ではバーストの色合いを見るだけで誰が仕上げたか分かるそうです。
ここで次にトップクリアコートへと向かいますが、その前にシリアルナンバーと”10″(10Topの場合)が手書きで入れられます。そういえばシリアルナンバーが手書きの大手エレキギターブランドは少ないですね。
トップコートは選りすぐりのスプレー職人たちによる手作業で行われます。
塗装の総合的な厚みは、髪の毛2本分程度と非常に薄くなっています。
~続く~