Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その8

前回はこちら
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-ポール・リード・スミスについて-その7/

アシスタントであるJonh Ingram(ジョン・イングラム)とシェアハウスを始める少し前に、ポールは自身初となるメイプルトップのギターの制作を始めます。

これまでポールが製作してきたギターのボディには全て、マホガニーのみを使用しており、あくまで”ワーキングミュージシャン”が実際に使い倒すためのギターとして作られていました。

しかしフレイムメイプルを使用することで、ポールのギターはよりたくさんの顧客を得る大きな転機を迎えます。

自身初のギターのトップには、ポールの友人の家にあるタンスの表板のメイプルが使用しました。(そのタンスは300年前に作られたものとも言われる非常に古いものでした)

ちなみにその友人の母は元々メイプルの杢目が嫌いだったようで、表板のメイプルを取った後は木目のないチェリー材に交換して返したそうです。

このギターは、元々地元のバンド”Face Dancer”のギタリストであるJeff Adamsのために製作されたものでしたが、Jeffは金銭トラブルのためにポールに返却されることになりました。

その後、ポールは”Heart”のHoward Lease(ハワード・リース)に売り込みをかけるためになんと直接電話をかけます。

そして、ポールから送られてきたそのギターのポラロイド写真を見たハワードは即購入を決めました。

無名のビルダーの作品としては当時では破格の2000ドル(現在でいうと$7600以上)で売却となっています。

このギターは”Golden Eagle”と名付けられ、ハワードに非常に長期に渡り愛用され続けることになります。

のちのSANTANAモデルのベースともなったこの記念すべきギターは、2009年にPrivate Stockとして全世界100本限定で復刻されています。

取っ手の引き出しの穴を埋めた痕の残ったフレイムトップ、厚みのあるボディ、左右対称のヘッドシェイプ、微妙にデザインの違うバードインレイなどなど、本人使用の愛機を完全再現するだけでなく、当時のポールの住所まで記載された名刺やガムテープのあとをつけたフライトケースまでも製作しており、PRS史の中でも非常に重要な1本であるという思いを感じさせる復刻モデルとなっています。

~続く~

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