“Player”を”Performer”へ。Fenderのコストパフォーマンスモデルについて

こんにちは。スタッフの鹿毛です。
今回は前回から繋がっているようなテーマになるのですが、現在Fenderにてラインナップされているコストパフォーマンスモデル、その中でも”Player”シリーズと”Performer”シリーズについて取り上げていきたいと思います。

どちらも「手に取りやすい」をモットーに、Fender社の意匠の凝らされたスペックが特徴です。初心者に優しく中級者のセカンド・ギターとしても、と謳われており、豊富なカラーとモデルのラインナップを取り揃えています。
と、まるでメーカーサイトのような説明を書き連ねてしまいましたが、こういった廉価ラインナップが大好物の僕が個人的に注目したいのは、なんといっても上位モデルでは考えられない独特のスペックとカラーです。


Fender USA 2019 American Performer Stratocaster (Honey Burst)

“Performer”シリーズから取り上げるのは2019年製 ストラトキャスターモデルです。
僕がまず取り上げたいのがカラーです。通常、というかトラディショナルなラインナップには無いカラーですよね。アンティグアでも思ったんですが、Fenderのバーストってどうしてこう「愛され系」ばかりなんでしょうか。一目した時の「茶系のバーストだけれどそうじゃない」感…。洒落が効いてますね(これを洒落扱いしてしまうのはどうなのでしょうか…)。
スペックとしては、サテンフィニッシュのCシェイプネック、ヘッドアジャストロッド、22フレットのジャンボフレットが打たれた9.5Rの指板を採用、とだいぶモダンな設計になっていますね。
さらには、トーンを絞った際に適度にローも一緒にカットして音が篭りすぎないようにする”Greasebucket Tone System”という回路が採用されているのも胸が躍るポイントです。「TBX」や「No-load Tone Control」をはじめとした、Fenderがずっと行なってきた「トーン回路への仕込み」がこのモデルにも搭載されている、と思うと感慨深くなってしまいますね…。ちなみにリアのトーンノブのPush/Pullによるアド・フロントも行えます。至れり尽くせりですね。


Fender Mexico 2017 Player Duo Sonic (Seafoam Green)

“Mexico Player”シリーズから取り上げるのは2017年製 Duo Sonicです。
やっぱりカラーが最高ですね。通常のラインナップのSeafoam Greenと比べて明らかに明るくて薄い色合いなのも良いですね。パーフェロー指板やミントガードも相俟って全体的に彩度の低い、主張してこない仕上がりなのが個人的にはグッと来ます。
Playerシリーズのカラーラインナップとしては「Tidepool」や「Capri Orange」や「Torino Red」など鮮やか全開のものから、トラディショナルな「Sunburst」や「Black」や「White」もあります。しかしながらタダでは転ばないのがPlayer。オフセットモデルに限っては、サンバーストでもブラックでもホワイトでもブラックのピックガードを採用しているのです。さらには搭載されているハムバッカーはオープンホワイト。これらが見た目に与える作用は絶大で、トラディショナル感がたちまち薄れてさながら70-80sの雰囲気になってしまうのです。これはもう僕としてはたまらないですね。社に於けるシリーズの位置付けが開き直ったほどに分かりやすくて最高です。
このモデルには9.5Rの指板/ミディアムジャンボタイプが打たれたツバ出しの22フレット/裏通しタイプのハードテイル6連サドル/導電塗料の塗布など、一般的なモダンスペックが採用されています。普通に連ねて書いてしまいましたが、この価格帯の楽器に、ちゃんと恩恵が受けられるモダンスペックが搭載されているということそのものが本当に凄いことだと僕は思います。
ちなみに、現在の”Player”シリーズには「Mexico」の明記がありません。タイトルでも取り上げた通り、”Player”や”Performer”をはじめとした、今までは明確に分かれていたUSAやMexicoの各モデルを地続きにしたい、というようなFender社の意図が感じられるような気がします。

生産ラインとして安価な楽器にも、ステップとしての役割だけではなくこうして工夫や意匠を凝らした楽器がラインナップされていることを、僕は非常に喜ばしく思います。
僕が楽器に興味を持つことが出来たのも、こうした企業努力のお陰なのでは、と強く思います。

それでは。

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