Stephen Stern ~アーチトップスペシャリスト~ 6
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アーティスト所有機を完全再現するトリビュートシリーズを手がけたステファン。
彼にとって、これらのトリビュートシリーズの製作で最も喜びを感じるのは、実機を実際に見てグレッチの”歴史”を肌に感じながらそのギターを研究できることだそうです。
“Eddie Cochrane ’55 6120”
2010年発売。
限定50本のみ生産されたモデル。
このギターの製作にあたっては、”Rock & Roll Hall Of Fame”を訪れ、実機を測定。
契約のため、かなり短い時間の中で急いで測定や撮影をしたそうです。
“G6128T-GH Duo-Jet George Harrison Tribute”
2011年発売。
限定60本のみ生産されたモデル。
このギターは実機をカスタムショップ内で3日間もじっくりと測定できたそう。
これほどの長期間実機を預かれることは非常にめずらしいことだそうで、製作は非常にやりやすかったようです。
もちろん、その分相当細かなディテールまで徹底的にやったそうで、再現度は恐ろしいほどに高いモデルでした。
このモデルは、Premier Guitarマガジンからの最大の賞賛、全国紙のUSA TODAYなどでも取り上げられたこともあり、非常に大きな反響を得たそうです。
このモデルは当店にも在庫していましたが、ルックスの完成度の高さはもちろんですが、トーンも素晴らしいものでした。
これらのトリビュートシリーズを経て、グレッチカスタムショップはその再現度の高さで非常に高い評価を得ることになりました。
様々な年代に合わせたロゴ、ハードウェア、プラスチックパーツ等々、フェンダーカスタムショップ内にはそれまで存在していたなかったグレッチの再現パーツたちを次々を生み出しました。
ちなみに通常のグレッチモデルには使われない単板スプルーストップもオーダーされれば製作が可能で、そのトップにはベネデット時代から残されている上質なヨーロピアンスプルースが使用されるそうです。(Rich Robinsonモデルにも使用されています)
トリビュートモデルが高い人気を得たことで、生産台数を上げるために人員を拡大していきます。
2013年には5人のビルダーが新規加入。
精鋭とも言えるメンバーだったのか、5名中4名ものビルダーがのちにマスタービルダーになっています。
Chad Henrichsen (マスタービルダー2021年頃~)
Andy Hicks (マスタービルダー2022年~)
Gonzalo Madrigal(マスタービルダー2017年~)
Vince Van Trigt (マスタービルダー2019年~)
これを見ても分かる通り、ステファンは後進の育成にも精力的なようですね。
現在もマスタービルダーとして数多くのグレッチギターを製作し続けているステファンですが、実は自身はストラトキャスターが一番好きと公言しています。(彼の製作したストラトも実は存在はしているよう)
しかもあれだけのアーチトップを製作しているものの、ジャズは一切弾かず、ロックのみを弾くそうです。
テレキャスターも好きで、ジョン・イングリッシュがステファンのために製作した1本をお気に入りで使っているそうです。
そんな彼ですが、これからも非常に良質なグレッチギターをカスタムショップにて生産し続けることでしょう。
~終わり~