Todd Krause ~アーティスト・ビルダー~2
前回はこちら
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/todd-krause/
さて、ジャクソン/シャーベルでの経験を活かして、フェンダーカスタムショップの新製品であるセットネック部門を担当していたトッド。
それからしばらくしてから製品研究開発部(R&D Research and Development)へと移ることになりました。
そこでは、新モデルが設計図通りに製作可能かつ設計的に問題ないものかを確認するためのプロトタイプ的ものの製作やNAMMショー出展用のモデルなどを中心に製作していたそうです。
製品研究開発部で2年ほど勤めたのちにアーティストリレーション部門へ。
アーティストリレーション部門にいた頃は、一般客のための製作をしない”Arttist Builder”となり、数え切れないほどのミュージシャンのギターを製作することになりました。
元々、それぞれの歴代ビルダー達が個人的に持っていた各アーティスト達との関係(下記参照)をフェンダーに持ち込み、それがフェンダーとのエンドースへと繋がっていきました。
J.W Black → Bob Dylan、Rolling Stones
John Page → Bon Jovi, the Cars
Mark Kendrick → Buck Owens
John English → Dick Dale
Mike Stevens →Danny Gatton、Robben Ford、Eric Johnson
etc. etc.
カスタムショップでは、それぞれのディラー達やショップを窓口としてオーダーなどを受け付けており、そのため納期に非常に長い時間を要しており、中には1年ほどかかることもありました。
このアーティストリレーションではそういった時間のロスを防ぐために必要であれば、あらゆるプロセスを取っ払いました。
有名アーティストや”旬”のアーティストたちにメディアやライブを通してフェンダー製品を宣伝してもらう意味合いもあり、最優先事項として処理されていたようです。
各アーティストごとに関わり方は異なっており、
“今使っているのと同じのをもう一本欲しい”
“相談したいからライブの後で会いたいから来て”
など、メールや電話で多種多様なリクエストにかなり柔軟に対応していたようで、中には直接工場を訪れるアーティストもいたそうです。
このアーティストビルダーであった頃もすでにマスタービルダー的な扱いではあったそうですが、1997~98年頃には正式にカスタムショップのマスタービルダーとしてアーティストのためだけではないギターの製作にも取り掛かり始めました。
1999年にはJ.W Blackがフェンダーを離れたことで、それまで彼が受け持っていた多くのアーティスト関連の仕事の多くをトッドが引き継ぐことになりました。
担当していたいアーティストは、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ボブ・ディラン、ローリングストーンズ、マーカス・ミラーなどなど、ビッグネームばかり。
クラプトン担当の引き継ぎの際には、J.Wはトッドを連れて、LAにあるクラプトンのスタジオを訪れました。
クラプトンのテッククルーたちを紹介され、クラプトン本人にも直接対面して、そこでトッドが作った新しいシェイプのネックを手渡し、気に入ってもらえたことで、いよいよ本当に担当のビルダーになることをトッドは実感したそうです。
またジェフ・ベックも、彼のためにネックとピックガードを作ったところ、その出来栄えを気に入ってもらったことで、担当となったそうです。
当時のトッドの各アーティストのファイル入れの写真を見ると、とんでもない顧客リストとなっているのが分かりますね。
~続く~