Todd Krause ~アーティスト・ビルダー5 ~
前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/todd-krause-4/
トッドが手掛けたクラプトンモデルとして有名な”Crashocaster”。
1997年2月にクラプトンは、グラフィティ/ストリートアート運動の先駆者であるニューヨークのアーティストのJohn “Crash” Matos(ジョン “クラッシュ” メイトス)と出会いました。
クラッシュのグラフィティアートのファンであったクラプトンは、数年かけて彼とのコラボレーションの可能性について話し合った後に、クラッシュに自身のギターのペイントを依頼します。
フェンダーからトッドが製作したボディをクラッシュに直接送ってもらい、ペイントを施しました。
そのペイントはアクリルによるものだったので、フェンダーでその上からクリアコートを吹いて保護。
完成したことを知らなかったクラプトンはレコーディング中にサプライズで受け取ったようで、非常に喜んでいたそうです。
その後、50本ものギターをクラプトンのためにペイントしました。
ちなみに”Crashocaster”の名付け親はギターデックのリー・ディクソン。
クラプトンのためのクラッシュギターの 1 つである”Crash-3″(このように呼ばれていた)は、Mark Kendrick(マーク・ケンドリック)によってデザインされたピックガード&コントロールプレートが特徴でした。
このデザインはGeorge Fullerton(ジョージ フラートン)の1954年製のストラトキャスターからアイデアを得たものでした。
その”Crash-3″ですが、2004年のクリスティーズオークションでブラッキーなどと同様に販売されました。
クラプトン、クラッシュ、リー・ディクソンらはオークションステージの上の階にあるVIPルームでオークションの様子を見ていました。
破格の値段がつくとは思ってもいなかったクラッシュは、値段が釣り上がる自身の作品の描かれたギターに驚きを隠せなかったそうです。(最終価格は $321,000)
2003年の冬のNAMMショー。
フェンダーはエリック・クラプトンの持つワンオフのクラッシュ・ギターを展示しました。(ショーのためにのみクラプトンが承認した1本だけ)
当時、クラッシュギターは一般に販売されていませんでしたが、マーク・ケンドリックがクラッシュに限定生産でよいので作ってみないかと促しました。
そして1年後、 2004年冬のNAMM ショーでクラッシュ・ギターのプロトタイプが展示されました。
クラッシュはこのプロジェクトのために2年以上をかけて、なんと50ものストラトボディをペイントしました。
そしてトッドがそのボディたちを使って、2007年初めに50 個の全てワンオフとなるカスタム・クラッシュ・ストラトキャスター完成させました。
”Clapton Crash Stratocaster”として販売や紹介されていることもあって、よく混同されていますが、彼らがクラプトンのために作ったギターと後に製作された50本は時期的にもスペック的にもまったく別物であるそうです。
新しく製作されたギターは、
-ブラックアノダイズドのトップコントールプレート&バックプレート
-ブラックカバーのノイズレスピックアップ
-クラッシュのシグネチャーが刻印されたジョイントプレート
などを採用したユニークな仕様となっています。
このシリーズの中でもギターとアンプのセットも製作されており、なんとこれらの中には実際の”絵画”が描かれたキャンバスとセットになっているものもあったようです。
~続く~