Tom Anderson ~カスタムギターのパイオニア~ その3

前回のその2はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/tom-anderson-2/

個人工房を営むルシアーたちへのボディやネックの提供やOEM生産などを続けていたトムでしたが、
ある日、ハリウッドのディーラーから
“もしこれらのパーツを使って君自身がギターを完成まで組み上げたら、俺のところで売れると思うけど、作らないか?”
という提案受けます。

この言葉を信じてトムは、それからは時間を見つけては、完成形までの組み上げに取り組むことになりました。

上記の提案に加えて、せっかく作った良いネックを提供しても、スキルの無いルシアーのひどいフレットワークや加工などにより台無しになっていくことに憤りを覚えていたことも相まって、ギターそのものの完全製作により真剣に移行していきます。

そして立ち上げから6年経った1990年に、ボディ/ネック/パーツ等の販売をストップすることにし、自身のブランドによるギターそのものの販売に移ります。

1990年の当初は外注していた塗装も、1992年からは自社の手によるものに移行。

1993年にはほぼ全ての工程を自社工房で行うことが可能になりました。(メタルパーツだけは他社から購入していたそうです)

それから数年もの間、ハイエンドカスタムギターを代表するブランドとして成長し続けることになります。

その演奏性の高さやサウンドで人気は高まり、ハイエンドといえばトム・アンダーソンと言われるほどのブランドになり、生産量も膨大になっていきました。

しかし、それにより質の低下を危惧したトムは、2007年からは(2006に発表)、大きくなりすぎてしまった会社の規模を縮小することしました。

“We are a small American Company dedicated to creating the world’s finest feeling, playing and sounding electric guitar―period!” 
(私たちは世界でもっとも良いフィーリング/プレイ/サウンドのギターを作るアメリカの小さな会社である)
と自身のことを謳っており、現在は従業員数は20数名&年間900本を目安にした生産にとどめることで、クオリティを保っているとのこと。
(100名ほどの従業員を抱える”Suhr”とはかなり規模が違いますね。)

さて、トム・アンダーソンならではのスペックはいくつかありますが、何と言ってもそのネックジョイントが特に目を引くのではないでしょうか?

2点止め&台形の”A-Wedge”。

他のどのブランドにもないジョイント設計ですね。

ご存知の方も多いかも知れませんが、実はこの方式は2006年から採用されたもので、比較的新しいものです。
ブランドの人気がすでに確立している中で、このような大きな変化を求めたところにもトム・アンダーソンのより良きものへの渇望を感じさせます。

その他、スイッチシステムやフレットなどの研究にも余念がなく、ブランドは今でも進化し続けています。

余談ですが、1999年からは”Guitar Of the Week”と称して、おおよそ週から月に1本と不定期ですが、自社のギターを紹介しています。

Guitar Of the week
http://67.199.119.61/cfpages/archiveMenu.cfm

自分たちの製作するギターへの愛を感じさせるウェブページになっています。

~終わり~

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