~Tom Murphyはどんな人?~ Gibson Aged 中編

経歴を紹介した前編はこちら
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/tom-murphy-gibson-aged/

40歳を目前としたトムはここでようやくギターを演奏する側ではなく、製作側に回ることになります。

当初、木材加工部門で働く予定だったトムでしたが、初出勤したその日の正午までは木材加工部門にいたものの、すぐに修理部門&品質管理に配属されることになります。

そこでは出荷前のチェックに引っかかったギターの傷やへこみのタッチアップ等のリペアのようなことをしたようですが、その道20年といった女性従業員が隣にいたこともあって、腕をメキメキと上げていったそうです。

ギターブランドの頂点の一つであるGibsonで働くことで、この頃にはこの仕事が自分にとっての天職であると確信。
かくしてギターリストから技術者へと本格的に歩みを進めていくことになります。

次の年には、塗装の部門に移動することに。
その頃のペイント(カラー)はほとんどトムがやっていたという噂も立つほどに、相当数をこなしていたようです。
当時の同僚は、”トムはあそこに(ペイントブースに)住んでるみたいだった”とも語っています。

そしてさらに次の年、現在のカスタム・ショップの元となったもので、カスタム・オーダーを受け付ける部門”Dealer Custom”を開設するオリジナルメンバーにエドウィン・ウィルソンと共に選ばれることになりました。

前例が無い状態で始まったこの部門ですが、手探りの状況ながらなんとかこなしていったようです。

オーダーの内容によってはマーフィー自身がペイントを行う場合もあったようですが、主にオーダーの仕様の相談や、受注したオーダーの仕様が生産現場に正しく伝わるようにアドバイスする監督的な立場でした。

ちなみにこの時に受け付けたギターは1点もののオーダーで、ネックの裏には”Custom Shop”とデカールが入れられるようになります。

この時点ではカスタム・オーダーを専門とした工房が出来たわけではなく、主にオーダーを受ける際の仕様の相談や、受注したオーダーの仕様が生産現場に正しく伝わるようにアドバイスする監督的な立場であったとのことです。

同時期に、当時のマネジメントからの招集を受けて、1993年の新しい販売戦略会議に出席したトム。
ディーラーによるカスタム・オーダーの内容から、高まるヴィンテージ・レス・ポール・レプリカの需要もあって、リイシューシリーズを作ろうという会議でした。

レギュラーラインの製造にいた頃からすでにヴィンテージのギターとの違い(当時のレギュラーレスポールとの)について疑問を持っていたこともあり、ディープジョイントや各パーツ等よりヴィンテージに近いスペックを提案することになり、それは採用されることになりました。

そして1993年1月のNAMMショーで、トム・マーフィーの先導による1959 Les Paul Reissueが紹介されることになります。

その成功を受けて、1993年12月、ついにカスタム・ショップとして独立したファクトリー”Gibson Art and Historic”が立ち上げられます。

この時点でトムはギブソンでの勤続はまだ4年程度。

ギターの製作側に回ったばかりという印象でしたが、あっという間にギブソンの中核を担う人物となっていたようですね。

~続く~

写真は1993年にディーラーからカスタムオーダーされた”Jimmy Wallace Les Paul”。

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