Who is George Blanda? ~レジェンドと称されるビルダー~ その4

第3回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/who-is-george-blanda-3/

さて、数々の初期シグネチャーモデルのデザインに携わってきたジョージですが、まだまだその貢献は続きます。

Muddy Waters Tribute Telecaster

2000年にトリビュートシリーズの第一弾として、ジョージはMuddy Waters Tribute Telecasterの作成プロジェクトに入ります。
カスタムショップの名義でオハイオ州クリーブランドにある”Roock And Roll Holl of Fame and Museum”に保管されているMuddy Waterが愛用していたテレキャスターを借用することに。

ネックに特徴のある1本で、
“50年代にシカゴで作ってもらったネックで、とにかく極太のシェイプでスライド用に高いナットを付けている。とにかく太い弦を張りたかったからそうしたんだ。ネックの太さと弦の太さが図太いサウンドに大きく影響していると思う”
とMuddy Water本人も語っています。

ここでの測定もまたジョージの手により行なわれます。
こういったアーティストモデル作成のための実機の測定をほとんど任されているのは、フェンダーにおけるジョージへの絶大な信頼の証でしょう。

この時の計測についてジョージは、
“文化遺産(Artifact)とも言えるものを測定するという重大な責任を感じられた貴重な体験だった。
通常ギターの測定をするためにまず最初にするのが、弦を切って、ネックを外すことだが、このギターはマッディーが最後にプレイしてから20数年もの間、弦が替えられていなかったんだ。
だから弦を切ることはなく、慎重に弦を取り外しながら、’どうか切れませんように’と冷や汗をかいたよ”
と言っていたそうです。

そうして慎重かつ正確に計測されたギターの情報は、当時マスタービルダー昇格前のジョン・クルーズ(John Cruz)に託されることになります。
昇格以前にも関わらず任されたところをみると、この時点ですでにジョンのレリック加工の技術には定評があったようですね。

このプロジェクトに他のマスタービルダーの絡むこともなく、ジョンにより全てが進められます。
自身でプロトタイプを製作してから、そのレリックの作成方法についてチームビルトのメンバーに教えて生産に入ることになったそうです。

Jimi Hendrix Woodstock Startocaster

2003年。

ジミ・ヘンドリックスが1969年のウッドストックで使用した1968年製のストラトキャスターのレプリカの製作。
使用したかつてないレベルの再現度を求めるギターとして、当時のカスタムショップディレクターであるマイク・エルドレッド(Mike Eldred)とジョージによる徹底的なリサーチが進められます。
シリアルナンバー、パーツ類、これまでのオーナーなどなど、そのギターにまつわる膨大資料を集めたそうです。

そしていよいよ計測をするために実機が収められている”Jimi Hendrix Exhibit”が開催されていたシアトルに二人は向かいます。
エキシビジョンのスタッフたちの徹底監視の中、計測が始められます。

マイクがドライバーを手にした時に、スタッフたちは
“何をしようとしている??”とギターの解体を許さない姿勢になりました。
しかし解体しての作業を無しにクローンの複製などは出来ないことは分かっているので、なんとか説得を試みます。
そこでかつてMuddy Waterのギターを解体したことを引き合いに出し、なんとか交渉が成立することになりました。
無事計測と記録が完了します。
そのレプリカはマイク・エルドレッド一人のみの手で数本のみ完全限定で製作されることになったそうです。
関係者への無償での提供やオークションにのみ出されただけとなっており、現在では幻のギターとなっています。

随分と回を重ねてきたジョージ・ブランダですが、次でいよいよ最終回。(キャリアの長さもあるのでしょうがないですね)

~続く~

Follow me!